カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2013年7月16日 (火)

歌誌と文庫本

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 今日の昼、結社誌「コスモス」8月号が届いた。

 7月13日(土曜日)には発送されたのであろう。連休明けに届くよう、編集、発送を急いだものだろう。

 それで気がついて、午後にショッピング・モール「パワーセンター ワッセ」内にある書店、「KaBoS ワッセ店」で、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)8月号を買った。

 同店にて、朝井リョウの小説「桐島、部活やめるってよ」(集英社文庫、2013年13刷)を買った。

 しまいの古井由吉「聖 栖」(新潮文庫、1986年・刊)は、Amazonのマーケットプレイス「KOOKBOOK」に注文して、届いた本である。

2013年7月14日 (日)

鈴江幸太郎「水の上」

 初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、8番めの歌集、「水の上」を読みおえる。

 先の7月7日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「夕映」に続く歌集である。

 原著は、1962年、初音書房・刊。492首。

 3年の歌作の間には、住友電気工業・社史、伝記「鈴木馬左也」の上梓を果たした。

 また60年安保の年を含むが、若干首で触れているのみである。

 以下に7首を引く。

もろともに床のぶる夜半(よは)に月照りて若きらはまた峯に出でゆく

つぬさはふ石見(いはみ)の海をおほふ曇り濃き雲淡き雲みだりつつ

もの言はぬ老の心となりにけりあらはなるわが合歡の淡紅(うすべに)

もろともに泛きてたゆたふ鳰ふたつ相寄るときに啼くことはなし

夜の梅に出でて歩みし我といふ醉ひて覺えぬことは寂しき

今までに生きつぎしさへ運強き我とおもはむ社史が本に成る

折々に濁れる川を見下して明るき高層の室に落つかず

Photo
写真素材集サイト「足成」より、花菖蒲の1枚。

今年も花菖蒲の花を見ずに過ぎてしまった。

2013年7月 7日 (日)

鈴江幸太郎「夕映」

 初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、7番めの歌集、「夕映」を読みおえる。

 先の6月22日に、6番めの歌集「屋上泉」を紹介した記事(←リンクしてある)以来の、紹介である。

 原著は、1959年、林泉短歌会・刊。

 歌人の還暦に至る3年間の、530首を収める。

 この時期、特別な事件はなく、主宰する歌誌「林泉」の編集、歌会、吟行などに励んだようである。或る女性に思いを寄せるらしい歌群もある。

 以下に7首を引く。

船のゆきのままに移ろふ靑山のここにも高く家群(やむら)こもれり

寂しきは我といづれぞ瀨々の音ひびく日を夜をしづまりて臥す

アララギの友のすくなきふるさとに井坂吉惠(ゐざかきちゑ)も死にゆきにけり

雨具ぬれて岬端(さきはな)に立つは朝くらき海を見張れり群れくる鰤(ぶり)

あくがれは齡(よはひ)とともに深くして夕日ヶ濱をまた何時か見む

折紙(をりがみ)の上にうつ伏し眠りたる幼き孫を見るしづごころ

川波の響の中に横(よこた)はり聲とどかねば言はぬもしたし

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ダウンロード・フォト集より、清流の1枚。

涼を求めて。

 

2013年7月 3日 (水)

「歌壇」7月号

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 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)の、2013年7月号を読みおえる。

 散文では、読んでいない編もある。

 特集の「西行ゆかりの地、高野山を巡る旅」の、佐佐木幸綱「西行と高野山」の論が、貴重である。次号に続編を掲載、との事。

 また6氏による、旅での8首競詠は優れている。競争で秀作が生まれるらしい。

 米田律子(「未来」所属)の「白月」12首は、反戦の歌を含む。文学において、他のジャンルより、短歌が趨勢に最後まで、抵抗する気がする。

 新連載が2つ始まり、増ページのようだが、僕は旧号を残さないので、正確にはわからない。

2013年6月24日 (月)

「コスモス」7月号

 歌誌「コスモス」2013年7月号を読みおえる。

 ただしいつものように、初めから「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」(「その二集」「あすなろ集」の特選欄)、「新・扇状地」など。

 Fりかさんの批評「展望 試される表現」も感慨深かった。

 僕がチェックを付けた1首は、「月集シリウス」のH瓔子さんの5首より、次の作品。

近ごろは笑ひ上戸となるわれよ泣き上戸よりむしろ危ふし

 危うい精神の機微を衝いている。

 このあとも、次号が届くまで、「その一集」から、読み続ける予定である。

Photo
写真素材サイト「足成」より、季節に合わせ、アジサイの1枚を。

近ごろはアジサイでも、この種類が流行のようである。

2013年6月23日 (日)

羽矢通子「青草の原」

Cimg7068 埼玉県・在住の歌人・羽矢通子さんの第2歌集「青草の原」を読みおえる。

 2007年、短歌新聞社・刊。

 彼女は「未来」会員、「葱」同人。

 第1歌集「羊の家」よりの、7年余りの作品を収める。

 戦争の経験があり、キリスト教に近く(歌集名は聖書より採られた)、反権力的な立場にいる。

 彼女が短歌の他にも、幾つか関わる事は、女性が解放される事の、困難さを示している。

 以下に7首を引く。


砥ぎ草の硬き木賊はすっぱりと伐られて山を出るときを待つ

病み重く君はメールを送りつぐ最期の手紙に「つよく死にたい」

ダイアナ妃を悼む花束鉄柵に溢れて蜂の羽音うるさし

毛繕いに余念なき猫かたわらにわが頸筋のしんしん痛む

歩み入る疎林の木陰足裏に関東ロームかすかに湿る

深海に目の光るとうメヒカリの胡麻ほどの目の硬い歯ざわり

冬の夜の道路計画説明に難民のごと集められたり

2013年6月22日 (土)

鈴江幸太郎「屋上泉」

 初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、6冊めの歌集「屋上泉」を読みおえる。

 原著は、1956年、林泉短歌会・刊。

 463首、「巻末記」を収める。

 先の5月21日の記事(←リンクしてある)、「雅歌」に続く歌集である。

 住友家先代家長(当時)伝記「住友春翠」の執筆・完成、また主宰する「林泉」の吟行、歌会など、繁忙でありながら充実していたらしい、約3年間の作品である。

 以下に7首を引く。

この白き石の佛のにほふ面(おもわ)あくがれ立つは人に障(さや)らず

勞はれと言ひ給ひしといふことも人傳なれば寂しきものを

苦しみの集る如き七月の曇りに左千夫先生死にき

花すぎて花莖垂れし擬寶珠(ぎぼうしゆ)の下より涌ける水にまた對く

破れたるソファーにふかく身を沈む立ちあがる氣力殘れりや否(いな)

朝に寄りゆふべに跼みかなしめば幼き合歡の芽は葉となりつ

青空のした架線ありて電流の鳴れるは雨の音よりわびし


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2013年6月18日 (火)

歌誌2冊

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 昨日(6月17日、月曜日)に、結社歌誌「コスモス」2013年7月号が届いた。特集のない、通常立て号である。

 僕の短歌は、10首出詠の内、4首選だった。内容は、僕のもう1つのブログ、「新サスケと短歌と詩」(このブログのリンク集にある)の記事にも、近いうちに載せる予定。

 今日の午前、ショッピング・モール「パワーセンター ワッセ」に寄った時、書店「KaBoS ワッセ店」へ行き、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2013年7月号を買った。

 特集や、新しく始まる連載があり、楽しみである。

2013年6月 5日 (水)

吉田律子「残華」

Cimg7032 東京都・在住の歌人・吉田律子さんの第2歌集、「残華」を読みおえる。

 2010年、ながらみ書房・刊。

 帯、1ページ2首。近田順子・跋、あとがき、を付す。

 第1歌集「孤高の貌」の完成を待たずに夫(大恋愛の末に結ばれた、とのこと)が癌再発により逝き、10年所属した「かりうど」の師・青井史が逝き、自身は鬱病となった。

 しかし短歌との縁は切れることなく、「未来」所属の近田順子の指導を受け、信仰の力もあり、第2歌集上梓に至った。

 亡夫恋の作とともに、海外旅行詠も混じる。お孫さんを詠んだ作もほほえましい。

 以下に7首を引く。


此の世との別れ告ぐるか夫の眼は見守る吾にしかと真向かう

胸内に牡丹を秘めて生きし師よ唐突に崩れ逝きてしまいぬ

子には子の我には我の思いあり夫三回忌 水無月の風

水脈(みお)という美しき生すでになくただひたすらに混濁を生く

我の手に暖かき手の重ねられ誰なんだろう夢から覚めて

売却の印鑑押しつつふとよぎる三十代のローン重き日

君の亡き初春四たび迎えつつ残華秘めゆく女となりぬ

2013年5月28日 (火)

「歌壇」6月号

Cimg7009 このブログの5月18日の記事で、入手を報せた歌誌、「コスモス」「歌壇」各2013年6月号より、「歌壇」(本阿弥書店)を読みおえる。

 特集の「近藤芳美生誕百年―晩年の歌境」では、盟友・岡井隆の「近藤芳美の晩年について 総論」を始め、7編の論が並ぶ。僕は近藤芳美の短歌を、歌集としては1冊も読んでいないので、「近藤芳美集」に読み入るのが楽しみである。

 もう1つの特集「父の詠む子の歌―家長から育メン」まででは、小塩卓也の「若き父よ、もっともっと子を詠え 総論」、黒瀬珂瀾・選の「『父』のうた五十首」、栗木京子・本多稜・大松達知の鼎談「短歌に見る変貌する父と子の関係性」が、いずれも興深かった。

 今号は、短歌作品のみでなく、文章も多く読んだ。

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