カテゴリ「評論・思想」の27件の記事 Feed

2015年5月17日 (日)

永田和宏「近代秀歌」

Cimg8406 永田和宏「近代秀歌」(岩波新書、2014年10刷)を読みおえる。

 ある方より借りた本である。

 対になる、同・著、同・新書の「現代秀歌」は、その人を含む2人に貸し、戻って来た。今年1月2日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 この本も、明治以来、戦後の前衛短歌以前まで、100首とそれに付随して幾首かずつを取り上げ、10章に分けて解説している。

 僕の知っている歌が多かったが、あるいは微細に入り、あるいは状況を示して、その歌の佳さを、明快に懇切に説いている。

 会津八一を苦手とし、吉野秀雄を取り上げなかった所、僕と同感である。

 近代短歌、恐るべし、である。

2015年4月 5日 (日)

石川啄木「時代閉塞の現状」

 Goole Play Booksより青空文庫・発でタブレットにダウンロードし、石川啄木の評論「時代閉塞の現状」を読みおえた。

 副題は「強権、純粋自然主義の最後および明日の考察」。

 1910年、朝日新聞のため執筆されたが、当時、掲載されなかった。

 僕は、岩波文庫、啄木全集と重ねて、3度めの読書である。

 日本的自然主義に絡めつつ、当時の青年はいかにあるべきかを問うた。

 啄木の主張は、当時の権力を慮って明白には書いていないが、社会主義革命であっただろう。

 現在も閉塞的な時代だろうけれど、行動と観照を対比させるなら、観照を採りたい。社会的事象に関心を持ちつつ、家庭や自己の周囲を、短歌と詩(「第3の大衆詩型」と称するソネット)に創ってゆきたい。

Photo

フリー素材サイト「Pixabay」より、水仙の1枚。

2015年1月 2日 (金)

永田和宏「現代秀歌」

Cimg8179 皆様、新年明けましておめでとうございます。

 今年もどうぞ宜しくお願い致します。

 早速、永田和宏「現代秀歌」(岩波新書、2014年2刷)の紹介に入る。

 昨年12月26日の記事、「届いた2冊」で、購入を報せた1冊である。

 写真は、カバーの表だが、トリミングしきれなくて、左右に余白が残った。

 「恋・愛」「青春」「新しい表現を求めて」などの10章に分けて、戦後前衛短歌運動・以来の100人100首(と1首に付随する若干首)を取り上げて、懇切に解説している。

 新しく歌集(アンソロジーを含め)を読んでみたい歌人が、何人か生まれた。

 彼の「合わせ鏡理論」についての、簡素な紹介もある。

2014年11月 3日 (月)

頂いた4冊

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 先日、郵便配達員が玄関のチャイムを鳴らし、「郵便受けに入らないので」と、分厚い大きな封筒を渡してくれた。

 若狭に住む詩人・民俗学者の、金田久璋さんが、4冊を送って下さったのだ。

 「角」第34号、「天彦(あまびこ)」7号は、若狭を中心とする詩誌であり、いずれも金田さんが実務を執っている。

 「リアリテの磁場」(351ページ)と、「詩論と世論の地場」(279ページ)は、詩論ほかの評論集である。

 このブログの読者にはお判りの方もいるだろうが、僕が読むのは詩歌句集・写真集がおもで、エッセイなら読まないでないが、小説を読むのは難渋している。

 さらに評論集では、読む気力と体力がない。これら2冊の評論集をいつ読めるか、今は当てがない。せっかく送って下さったのだけれども…。

 彼が、詩集と民俗学論集の他の、散文を本にまとめておきたくなった心境は、自分にもよく判るつもりである。

2014年8月20日 (水)

個人誌と評論集

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 浄土真宗の僧侶、釈誓道さんより、個人誌「本願海」No.11を頂いた。

 彼は迷いや卑下のない、信仰を得て、救われている。

 しかし詩編4編の内の「コンドーム・サバエに住む妄想的僧侶の使い捨ての唄」に、「その人は/同じ使い捨てでも、/ありがとう、ありがとうと使われて、/ありがとうと捨てられる/そういう生き方が/好ましい、と説いた。」とあるように、権力・資本の庶民操作に宗教が仲立ちした、という疑いが僕からなくならない。

 56ページにわたる「断簡集(二十一)」は彼の信仰告白なので、ここでは立ち入らない。

 また詩人・作家・評論家の定道明さんより、評論集「中野重治近景」を頂いた。彼は、ウィキペディアの「中野重治」項に、伝記研究として3冊の著書が載る人である。(僕が定さんと呼ぶのは、彼から数冊の詩集を頂いているからである)。

 その「あとがき」で彼は、60年安保の挫折後、中野重治の文章に救われる思いがしたように(これは僕の言い直しである)書いている。僕は中野重治の詩と小説を少し読んだが、そういう思いをしていないので、地元の作家ながら、全集を読もうなどと思わない。頼りない交際である。

 

2014年6月 7日 (土)

「知の論理」

Cimg7731 東京大学出版会「知の論理」(1995年・刊)を、ピックアップして(半分くらい)読みおえる。

 先月12日の記事(←リンクしてある)、「知の技法」に継ぐ。

 僕はいわゆる科学(生物学、物理学、数学、ITなど、急速な発展がある)に比べて、社会科学というものをあまり信用しない。

 論理が空転する場合がある事は、論理的に証明されている。

 失われた20年間、経済学もシンクタンクも回復へ持って行けなかった。

 どのようなブレーンがいるのか知らないが、アベノミクスで1部では好景気だそうだが、地方の退職者には及んで来ない。

 企業も官庁も、少人数、長時間労働、低賃金などで、どんどんブラック化している。世間的にもヤンキー化(押しの強い者の行為が通る)が進んでいる。

 論理を形成するには、頻繁に現実を条件として入れなければならないのに、書物等から学んでばかりでは、現実に役立たない。

 3冊目の「知のモラル」は、内省があるかと、読んでみる予定である。

2014年5月12日 (月)

「知の技法」

Cimg7687 東京大学出版会「知の技法」(1994年・初版)を読みおえる。

 東大教養部のテキストとして出版されたが、ブームを呼び、ベストセラーとなった。

 また続編「知の論理」、「知のモラル」が出版された。

 知の技術と方法をめぐって、20年前に書かれた文章群である。「知の論理」の「はじめに」で許される通り、興味のある部分だけ(約半分以上)を読んだ。

 中村雄祐「フィールドワーク――ここから世界を読み始める」の実践的・自省的文章や、翻訳の大家・柴田元幸「翻訳――作品の声を聞く」の世慣れた文章、詩人・松浦寿輝「レトリック――Madonnaの発見、そしてその彼方」の際物的文章、などが印象に残る。

 知のヒエラルキーのトップに、僕の思うような学問を求める事は、無理なのだろうか。「知の論理」「知のモラル」も読み続ける予定である。

2014年5月 3日 (土)

研究書2冊

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Cimg7667  Amazonのマーケットプレイスより、研究書(学問の本)の古本、2冊を買った。

 1冊は、「知の論理」(東京大学出版会、1995年・刊)である。同シリーズの「知の技法」「知のモラル」を持っていて、今頃に読み始めようとしている。

 もう1冊は、福岡伸一「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書、2008年・18刷)である。思う所あって。

 2冊とも、当時よく売れた本なので、マーケットプレイスでは共に1円(+送料257円)で買えた。

2014年4月26日 (土)

張籠二三枝「三好達治詩語り」

Cimg7642 県内にお住まいの作家・張籠二三枝さんが、評伝「三好達治詩語(うたがた)り」を送って下さった。

 彼女は同人誌、「日本海作家」(2011年終刊)、「青磁」で活躍し、「物語・菅家文草」「片手を腰に」他の小説本を上梓している。

 三好達治は1944年~1949年、彼女の住まう三国町に生活し、晩年の詩や、エッセイでは「わが心のふるさと」とまで、懐かしんでいる。

 寄寓したのは疎開(その前に妻子と離別し、萩原朔太郎の妹アイと結婚したが、その生活は1年と保たなかった)であり、出立は旧・文学者の活躍を追っての事である。

 彼女は、三好達治の詩とその解釈、他の資料を基に、詩人の生(おもに三国町時代)を追う。

 戦争詩の非は非としながら、詩人の心理に分け入って描いている。

2014年3月25日 (火)

稲木信夫「詩人中野鈴子を追う」

Cimg7597 稲木信夫さんの評論集、「詩人中野鈴子を追う」を読みおえる。

 今月5日の記事、「届いた2冊」で、受け取った事を報せた本の、1冊である。

 2014年3月、コールサック社・刊。

 「詩人中野鈴子の生涯」、「すずこ記 詩人中野鈴子の青春」に続く、彼の3冊めの中野鈴子論である。

 中野鈴子(1906年~1958年)・研究をライフワークとして、その成果は上がっている。

 中野鈴子の苦しんだ生涯、稲木さんの苦労もわかるけれども、僕は方向性が違うので、この本の内容に、今ひとつ共感できない。

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