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2012年1月の28件の記事

2012年1月20日 (金)

詩誌「角」第24号

Cimg5615 坂井市にお住まいの詩人・Nとしこさんが、同人詩誌「角(つの)」第24号を送って下さった。

 2011年12月、角の会・刊。

 K悦子さんの「生まれし命」は、生まれて5ヶ月近い嬰児の純粋な様と、めぐりの大人たちがあやし慈しむ様を描く。「健やかな生涯を願いながら/君が大人になるのを見届けられず/この世を去っていく者たちの/ちからも借りて」と結んでいる。

 Nとしこさんの「リオン」は、「リオン」という花が初秋の頃に庭に咲くことを描きながら、若かった義母や、穏やかで寂しいくらいの境遇を浮かばせる。「田仕事に疲れて ほっと中庭で土盛りする/遠い日の 暮れの/細い気配が きこえてくる」と結ばれる。

 散文では、Y清吉さんの「聞こえない耳に聴こえた音声(おんじょう)」と、Aセイドーさんの「事の始まり 6」など、人の悩みは尽きない、と感じさせる。

2012年1月19日 (木)

西島麦南「人音」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第4巻(昭和56年・刊)より、7番めの句集、西島麦南(にしじま・ばくなん)「人音(じんおん)」を読みおえる。

 原著は、昭和16年、甲鳥書林・刊。

 長い「序にかへて」、500余句、後記を収める。

 彼は「序にかへて」で「私は、芸術を衣食する資格を自らにゆるさない。」と書いたように、初期には「新しき村」への入植、それにも納得せず岩波書店に校正担当として入社、「校正日本一」と賞賛されるまでになった。

 専門俳人でないせいか、きらびやかな句はまれだが、地味に吟じ続け、戦時下にあって時局吟は1句もない。

 以下に5句を引く。

文弱のそしりに堪ふる卯月かな

惜しみなき千草の花の供養かな(温亭忌)

郁李(にはうめ)に春光あはき蝶のかげ

蒪生ふ沼のひかりに漕ぎにけり

菱の水めだか微塵に孵りけり

2012年1月18日 (水)

入手した本

 最近に入手した本を、以下に列記する。

  1. 結社歌誌「コスモス」2012-2月号。
  2. 総合歌誌「歌壇」2012-2月号。
  3. 桂川幾郎・詩集「わたし は わたし か?」
  4. 寺山修司・未発表歌集「月蝕書簡」。
  5. (株)マイナビ「MEDIAS PP 〇〇 完全ガイド」。
  6. ソシム(株)「MEDIAS PP 〇〇 完全活用マニュアル」。

 ①は、1月16日に届いたもの。

 ②は、1月17日(火曜日―僕の指定休日)に、「KaBoS Wasse店」で買ったもの。

 ③は、同人詩誌「群青」の仲間のAUさんを通して、桂川さんと知人となり、詩集の遣り取りをしたものが、1月17日に届いた。

 ④は、Amazon内のマーケットプレイス「パスカルブック」より1月18日(今日)に届いた。「コンディション 非常に良い」とあったが、とてもそうとは言えない本。「日本の古本屋」より安い。

 ⑤⑥は、Amazonよりの広告メールにあって、注文し、1月18日に届いた。スマートフォン同機のバブルフリー(泡の残らない)フィルムシートを買ったので、関連商品として、紹介したのだろう。同機の取説が今少しなので、例によってハウツー本を買ってみた。

2012年1月17日 (火)

「世界詩人全集」第24巻

Cimg5611 「世界詩人全集」第24巻、「世界名詩名訳集」を読みおえる。

 新潮社、昭和43年・刊。

 箱、帯、本体にビニールカバー、月報・付。

 森鷗外・上田敏より堀辰雄・三好達治に至る13氏による、外国の詩の邦訳を収める。

 ただし、5・7調、旧かな、古典文法の訳が多い。編者の河盛好蔵氏の好みとはいえ、古びている。現代詩とは呼びがたい。そう謳っている訳でもないが。

 外国詩の邦訳史の前期を辿るとすれば、良い概観を与える。

 全24巻のこの全集も、途中で飛ばした巻があったとはいえ、終りに至った。

 また新しい全集を読み出そうか。

2012年1月15日 (日)

J・アーヴィング「サーカスの息子」上巻

Cimg5609 ジョン・アーヴィングの小説、「サーカスの息子」上下巻より、上巻を読みおえる。

 新潮文庫、2008年・刊。

 この前に読んだ彼の小説、「第四の手」(新潮文庫、上下巻)の紹介が、2011年9月3日の記事にある。

 また「サーカスの息子」は、「第四の手」よりも古い作らしく(少なくとも、新潮文庫の刊行順では)、購入の報告が2009年1月17日の記事にある。

 主人公ファルーク・ダルワラ(インド人でカナダ在住の整形外科医)がインドを訪れた時、インド映画の覆面脚本家でもある彼に関わる連続殺人事件が起き、(犯人はわかっているが)解決までのストーリーの中にテーマを忍ばせているらしい。

 インドの描写やストーリーが雑駁である。作家の才能の旺盛さより、衰えかも知れない。

 上巻の終り近く、主人公の奇蹟体験(その裏は、喜劇的に描かれている)や、苦行的なアメリカ人宣教師のポンペイ赴任の話など、作家のテーマは宗教的なものかも知れない。

2012年1月14日 (土)

詩誌「アリゼ」第146号

Cimg5605 昨日に続いて、同人詩誌「アリゼ」第146号を紹介する。

 2011年12月、アリゼの会・発行、58ページ。

 20編の詩、12編のエッセイを収める。

 エッセイに含めたけれど、4編は2段2ページにわたる長文である。

 F修二さんの「熱帯雨林vsパーム農園」は、マレーシア、インドネシアでパーム農園経営が盛んになり(バイオ燃料としての需要も増えて)、自然侵害、労働条件等の、問題の発生を説く社会評論である。

 Y幸子さんのチベット語「ケサル物語」をめぐる行動的な話、Y智子さんの滞在記「私のアメリカ見聞録」、R一さんの美術展・記「川瀬&支倉」、ともに貴重な文章である。

2012年1月13日 (金)

詩誌「アリゼ」第145号

Cimg5602 昨日に続いて、同人詩誌「アリゼ」の、第145号を紹介する。

 2011年10月、アリゼの会・発行。

 同誌は、兵庫県・在住の詩人をおもに同人とし、以倉紘平氏が発行人となっている。

 詩20編、エッセイ12編を収める。

 詩では、Y幸子さんの「手をつないで」が、父のDVを振るう家庭に育った傷と、その癒しへの歩み出しを描いて、僕は感銘を受けた。

 またA優子さんの詩「蝶の夢と林檎の木」は、副題に「3・11から半年、9・11から十年」とあるように、震災(人災の面もある)とテロリズム(あるいは聖戦)の時代にあっても、希望を失うまいとする姿勢がある。

2012年1月12日 (木)

詩誌「アリゼ」第144号

Cimg5601
 兵庫県にお住まいの詩人・S陽子さんが、お便りとともに、同人詩誌「アリゼ」の、第144号~第146号を、まとめて送って下さった。

 第144号には、詩19編、エッセイ12編が載る。

 ページ数で、詩36ページ、エッセイ10ページである。

 しかし詩はおもに、行分け、連分けがあるから、情報量はエッセイも多いと思われる。

 内容の重いものもある。それらを詩作品にしたら、という気持ちが動いたが、そうでもないようだ。

 心に重い事を、表現してカタルシスを得、穏やかに生きられるならそれも良い、と僕は思い返した。

2012年1月11日 (水)

石塚友二「方寸虚実」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第4巻(昭和56年・刊)より、6番めの句集、石塚友二「方寸虚実」を読みおえる。

 原著は、昭和16年、甲鳥書林・刊。

 昨年12月14日の記事 で、中島斌雄・句集「樹氷群」を紹介して以来である。

 裕福・インテリの中島斌雄と対照的に、農家の次男として上京し、苦労人の石塚友二である。

 横光利一の序文、392句、後書を収める。

 戦時下、ファナティックにならず、生活の方寸の間に句材を求めている。それでも

菊花節大東亜圏晴一天

の句があるのは惜しい。

 以下に5句を引く。

玉萵苣の早苗に踞むバス待つ間

夜の酷暑氷塊惜しむ舌端に

休日の塵用暑き雨衝きて

邂逅の不可思議栗を剝き対ふ

人気なく火気なき家や俄破と出づ

2012年1月10日 (火)

古井由吉「槿」

Cimg5597_2
 「Amazon」内のマーケットプレイス「カフー4403」さんに注文していた本、古井由吉の小説「槿(あさがお)」が届く。

 福武文庫、1988年・刊。

 元の単行本は、1983年、福武書店・刊。

 「Amazon」内に、講談社文芸文庫・版もあったが高価なので、古い版の文庫本を買った。

 文庫で489ページの長編小説で、彼らしい心理的粘りのある文体が楽しみである。

 同じ本でも、古書店連合サイト「日本の古本屋」より安く、送料も前以って明らかで、注文・決済の手続きが簡単であった。

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