カテゴリ「読んだ本」の1643件の記事 Feed

2016年6月 3日 (金)

「歌壇」6月号

Photo 先の5月21日の記事(←リンクしてある)「歌誌2冊」で報せた内、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年6月号を、短歌作品を中心に読みおえる。

 特集の「結社の進路――結社の近未来を考える」では、結社中枢の歌人の声ではなく、投稿歌人、ネットや同人誌で活動する歌人、結社に入ったが辞めた人、の結社観を公にした方が有意義、とする声がツイッター上でかあり、もっともだと僕は思った。総合歌誌で、結社論が繰り返し取り上げられるのは、それだけ反発もあり、結社中枢の歌人も引け目を感じているからだろう。

 栗木京子による高野公彦(いずれも敬称略)へのインタビュー、「ぼくの細道うたの道」が始まった。彼の作品への理解が、深まるだろう。

2016年6月 2日 (木)

歌誌「コスモス」6月号「その一集」特選欄・読了

 結社歌誌「コスモス」2016年6月号より、「その一集」特選欄を読みおえる。

 同「月集」読了は、先の5月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 特選の歌は、内容が(本人にとり)大きく、レトリックも用いられている。

 各選者により、多少は歌風の傾向があるようだ。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。K・蕃さんの5首より。

ふるさとは大黒舞の来しころよおぼろに思ふ松尽し唄

 大黒舞は、新年の門付け芸らしい。めでたい「松」尽くしの詞を述べたようだ。

Photo_2

「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 1日 (水)

竹山広「葉桜の丘」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第2歌集「葉桜の丘」を読みおえる。

 第1歌集「とこしへの川」は、先の5月25日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「葉桜の丘」は、1987年、雁書館・刊。357首。

 彼はクリスチャンの家庭に生まれた。1941年(21歳)、結核病を発病、療養。

 1945年、浦上第一病院に入院中、原爆被爆。1948年(28歳)、結婚。1978年、長女・ゆかり死去。

 多くの悲惨を乗り越えられたのは、表には出していないが、信仰の力ゆえか、と思われる。短歌の徳も与っているだろう。

 以下に7首を引く。

文字植うる眼(まなこ)いくたびおしぬぐひ鈴懸に鳴る風を仰ぎつ

ま夜中の冷蔵庫などさしのぞくいかなる闇をわたる若者

逝きし子も学びゐる子も杳かにて夜ごと夜ごとの闇くだる天

鼻ごゑを売りまくるこの若者をののしりたれば心ほどけつ

子に点す蠟燭の焔(ひ)をたわめたる扇風機の風われに戻りく

ひとの歌を崇めしばしば毒づきて夏もしんそこ食ふものうまし

核実験にあらがひ坐るわれらただみづからの背骨(はいこつ)を味方に

Photo「フリー素材タウン」より花菖蒲の1枚。

2016年5月31日 (火)

「シュメール神話集成」(10)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」(2015年・刊)より、10回目、最終の紹介をする。

 同(9)は、先の5月27日付記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回、僕が読んだのは、「シュメールの格言と諺」1編である。

 先達学者によって1,000程とされる格言・諺より、60を翻訳者・尾崎亨が選び、訳している。目新しいものは少ない。

 これで16編、本文で193ページを読みおえる。10回に分け、長くかかったのは、目新しい神話、伝承であり、数百の訳注(46ページ)、77ページの解説を追いながら読まねばならなかったからである。

 2011年12月1日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「ギルガメシュ叙事詩」と共に、メソポタミア文明の文献の翻訳として、貴重な本である。

Photo 「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年5月27日 (金)

「シュメール神話集成」(9)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」(2015年・刊)より、9回めの紹介をする。

 同(8)は、今月18日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に僕が読んだのは、「ダム挽歌」(21行)、「悪霊に対する呪文」(80行)、「ナンナル神に対する「手をあげる」祈祷文」(49行)、の3編である。

 「ダム挽歌」は、イナンナ神(かつて、立場がわからない、と書いたが、戦と性愛の神とされる)が、冥界に去った息子・ダム神を嘆く独白である。

 「悪霊に対する呪文」は、病気を悪霊のせいと考えたので、退散させる呪いの療法を示す。

 「ナンナル神に対する「手をあげる」祈祷文」は、月の神・ナンナルに対する讃歌である。

 この本のテキストの残りは、「シュメールの格言と諺」のみとなった。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月26日 (木)

年刊句集「福井県」第54集(5)

 年刊句集「福井県」第54集(2016年3月、福井県俳句作家協会・刊)より、5回め、最後の紹介をする。

 同(4)は、先の5月14日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回は、161ページ~213ページ(作品集最終ページ)の、53ページ、106名の1060句を読んだ事になる。

 伝統長く広がり大きい文芸だから、新機軸を出すのはなかなか困難だろう。寓話やフィクションに走る場合もあるだろう。

 今回、僕が付箋を貼ったのは、次の1句。M・鈴子さんの「こぼれ萩」10句より。

靴紐を結びなほして梅一輪

 「一輪」にフィクションを感じないでもないが、意気込みをよく表している。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月25日 (水)

竹山広「とこしへの川」

Cimg8856 2014年12月30日付けの記事(←リンクしてある)で、届いた事を報せた「定本 竹山広全歌集」(写真は函の表)より、第1歌集「とこしへの川」を読みおえる。

 「とこしへの川」は、1981年、雁書館・刊。495首。

 竹山広(1920年~2010年)は、1941年「心の花」入会、他の歌誌を巡って1959年「心の花」に戻った。

 「あとがき」に1955年から1980年の作品を収めたとあるから、彼は少なくとも被爆10年を経てから長崎・被爆体験を詠い出し、36年を経てからその被爆詠を含む歌集を出版した。

 体験を作品化し、本にするまで、そのような年数が要ったのだ。

 以下に7首を引く。

血だるまとなりて縋りつく看護婦を曳きずり走る暗き廊下を

訪ねきてしきりにねむたがる妻よひとときの幸はや終るべし

み車に小旗ささげ振る学童らつひに頭(かうべ)を垂るることなし

死にそびれたるゆゑ長く生くべしと言はれつつ病み耐へし十八年

焼けのこりたる肉塊にガソリンをかけをりしかの校庭ここは

落葉摑みゐし幼な手もひらきやりぬ裸の胸に組ましめむとて

急須の茶濃くなるを待つしばしだに心遊べと照る木瓜の紅

2016年5月24日 (火)

村上春樹「雑文集」

Cimg8839 先の5月13日の記事(←リンクしてある)、「届いた2冊」で紹介した内、村上春樹「雑文集」(2011年、新潮社・刊)を読みおえる。

 小文69編を収めるけれど、69編の短編小説(掌編みたいなものを含め)を読むようなもので(435ページ)、かなりな苦労(忍耐と努力)をした。

 定価は1400円+税だけど、僕はAmazonマーケットプレイスで1円(+送料257円)で買ったので、258円の値打ち(内容と保存状態)は、ある本だった。

 エルサレム賞受賞挨拶「壁と卵」を読めただけでも、値打ちだ。

 しかし昨年7月28日~9月8日に、ここで8回に分けて紹介した「村上さんのところ コンプリート版」に由って、彼の人格への尊敬は失われたので、彼の立派な文章も、そのまま受け取る事ができない。

 現にそのあと出版された、自伝風らしい「職業としての小説家」を買っていない。

 小説の新刊が出るなら、買うだろう。現在の日本の作家で、海外でも読まれるのはほぼ、村上春樹1人なのは淋しい。「競ってこそ花」という言葉もある。

2016年5月22日 (日)

「シルクロード博物館」

Cimg8847 講談社「世界の博物館」全・23巻より、第19巻「シルクロード博物館」(1989年4刷)を、ザッと見おえる。

 前の第18巻「シリア国立博物館」は、今年3月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した

 「カブール博物館」、「パキスタン国立博物館」、「ペルシャワール博物館」、、「タキシラ博物館」、「ラホール博物館」、等の収蔵品を紹介している。

 列強国の探検隊が持ち帰ったのか、財宝(完全なもの、美しいもの)が少ないように思える。

 それに僕は、NHK取材班・編「写真集シルクロード」全6冊を見おえ、2010年11月10日~12月13日に、6回に分けて紹介している事でもある。

 それらがこの本の、写真、文章を、細かく辿らなかった理由である。

2016年5月20日 (金)

「梅崎春生全集」第2巻(1)

Cimg8842 沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、1回めの紹介をする。

 初期の戦記物を集めた第1巻の紹介は、先の5月4日の記事(←リンクしてある)、同・第1巻(6)で過ぎた。

 この第2巻は、戦前の習作と、戦後の初期の風俗ものを集めたようである。

 今回、僕が読んだ、「地図」、「風宴」、「微生」、「不動」の4編(発表年代順)は、いずれも梅崎春生が「桜島」で戦後文壇にデビューする以前、1943年までに同人誌等に発表された、今となっては習作と見做される作品である。

 「地図」、「風宴」に見られる死のテーマ、「微生」に見られる戦時下の鬱屈、「不動」の怠惰など、後に繋がる心情があるようだ。

 また風景・情景の描写の上手さ、わずらわしい心理の描写、なども後に繋がるものだろう。

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