カテゴリ「読んだ本」の1643件の記事 Feed

2016年5月19日 (木)

「トラークル全集 Ⅶ 遺稿(戯曲ほか)」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、「Ⅶ 遺稿(戯曲ほか)」を読みおえる。

 先の5月2日の記事(←リンクしてある)、「同 Ⅵ 遺稿」(3)に継ぐ。

 この「Ⅶ」には、11個の断片、3編の戯曲断片、2つのアフォリズムを収める。

 研究者は何かを汲み取るかも知れないが、読み部(よみべ)の僕には、貴重なものは読み取れなかった。

 なお初期に彼の戯曲2編が上演されたとされるが、戯曲台本は遺っていないようだ。

 1009ページの大部の全集も、残すは書簡と小伝のみとなった。書簡が145通、248ページ(注・付き)と長いので、分けて紹介する事になるだろう。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月18日 (水)

「シュメール神話集成」(8)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」(2015年・刊)より、8回めの紹介をする。

 同・(7)は、先の4月27日の記事(←リンクしてある)に、アップした。

 今回に僕が読んだのは、「シュルギ王讃歌」(103行)と、「グデアの神殿讃歌」(9章225行)である。

 シュルギ王(在世・紀元前2093年より48年間)と、グデア王(在世・紀元前2144年~2124年)の讃歌であり、いずれも王権を神から授けられたとして、絶対化している。

 記録としては、権力と宗教の在り様としては、興味深いかも知れないが、文学としては面白くない。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月17日 (火)

若山牧水「黒松」

 Kindle本「若山牧水大全」より、遺歌集「黒松」をタブレットで読みおえる。

 前作の第14歌集「山桜の歌」は、先の4月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 歌集「黒松」は、牧水の没後10年(昭和13年、1938年)に、改造社より出版された。ただしその前に全集に、夫人と高弟・大悟法利雄とが1千首をまとめて、収めていたらしく夫人の歌集後書からは推察される。

 1923年~1928年の作品で、自宅建設、詩歌誌発行等のため、全国、海外まで揮毫旅行を繰り返し、健康を害して1928年、数え年44歳で没した。

 最後の歌集であり、紙本の「全歌集」には多くの補遺があるが、僕は「大全」の随筆をタブレットで読んで行こうと思う。

 以下に7首を引く。

散りやすきこころとなりて昼はいね夜半を僅かに起きてもの書く

入りゆかむ千曲の川のみなかみの峰仰ぎみればはるけかりけり

明日去ぬる港とおもふ長崎の春の夜ふけに逢へる人々

うち群れて釣れるは何の来しならむ冬めづらしき今朝の釣舟

濡縁の狭きに立ちてをろがむよわが四十三のけふの初日を

松が枝に鴉とまりつおもおもと枝のさき揺れて枯葉散りたり

酒ほしさまぎらはすとて庭に出でつ庭草を抜くこの庭草を

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月16日 (月)

永田和宏「新版 作歌のヒント」

Cimg8826 先の5月10日の記事(←リンクしてある)「最近買った2冊」で紹介した内、永田和宏「新版 作歌のヒント」を読みおえる。

 NHK出版、2015年2刷。

 47のヒントに、例を挙げての解説と思いを述べている。

 歌集の筆写を勧めているくらいで、簡単な上達法はない、としている。

 しかし「結句の力―オチをつけない」で「結句病」を戒め、「嘘から出たまこと―事実しか歌ってはいけないのか」ではフィクションを認め、更に最後に「作者だけの<思い>で歌を縛らない」では、読者の読みを信頼して「作品は作者が作るものではなく、読者が作るものだ」と言い切りたい、としている。

 僕は少年時代、戦後詩の影響のもとレトリックの濃い詩を作ったが、それからの転回でレトリックの強い作品を書こうと思わない。

 この本には、オノマトペ、リフレイン、比喩、他のレトリックについても解説されているので、参考にしたい人は多いだろう。

2016年5月14日 (土)

年刊句集「福井県」第54集(4)

 年刊句集「福井県」第54集(2016年3月、福井県俳句作家協会・刊)より、4度めの紹介をする。

 同(3)は、先の5月7日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回は、前回に続き、121ページ~160ページの40ページ分、80名800句を読んだ事になる。

 大衆文芸とされる俳歌について、現代では大衆の知的レベルも上がり、結社の宗匠制でなくとも、同人制でも充分成り立つ。

 結社では、各号の採られる作品数、クラス進級を競う、競争制に拠って、進歩が早い場合があるだろう。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1句。Y・嘉代子さんの「初鏡」10句より。

一重八重百日草に雨宿る

 百日草の種は、たいてい八重(千重?)だから、一重が混じるのは、こぼれ種から生えたものだろう。おのずと庭の荒れた一画を思わせる。

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月12日 (木)

石田衣良「アキハバラ@DEEP」

Cimg8833 先の4月15日の記事、「最近買った3冊」で紹介した3冊の内、石田衣良の小説「アキハバラ@DEEP」を読みおえる。

 文春文庫、2006年・刊。帯付き、542ページ。

 彼の小説では、2011年9月20日の記事(←リンクしてある)で紹介した「40」他、2冊を読んでいた。

 彼の連作「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを、僕は読んでいない。

 「アキハバラ@DEEP」は、6人のオタク青年が、画期的なAI(人工知能)「クルーク」を創出して、それを奪い取ろうとするIT大企業と闘って、奪い返し、理念通り無料でネットの世界に公開する話である。

 その大企業が初め、代金として1人当たり2億円を提示するが、グループは譲らなかった。

 僕ならすぐに譲っていただろう。ただし文章は、アマチュアながら文学に関わる者として、お金を積まれても意に染まないものは書かない(書けない)。

2016年5月11日 (水)

詩誌「水脈」56号

Cimg8831 先日、「水脈の会」事務局より、詩誌「水脈」56号を頂き、ほぼ読みおえる。

 2016年3月、水脈の会・刊。

 会員の阪下ひろ子さんが亡くなられ、遺稿「仰臥したまま」が収められた。

 社会的に活躍して来た、S・周一さんが詩「老いに向かう日々」で、病気・金欠・孤独の3苦とは、にわかには信じがたい。詩と向き合っているのは、良い兆しだろう。

 N・としこさんが久しぶりに、詩「スキップする」を寄せている。

 I・信夫さんの中野鈴子・評伝「続続すずこ記」も快調である。

 N・えりさんの小説「母の料理」が最終回を迎えた。

 記録等、活動のバックアップが、行き届いている。

2016年5月 7日 (土)

年刊句集「福井県」第54集(3)

 年刊句集「福井県」第54集(2016年3月、福井県俳句作家協会・刊)より、3回めの紹介をする。

 同・(2)は、今月1日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 僕は購読のみという事で、句集参加費と年度協会費を足した額の半額で、この分厚い貴重な句集を譲ってもらっている。

 もちろん僕の詩と短歌を創る助けにするために読む。どれだけ助けになっているかわからないが、同じ時代、同じ風土を生きる者として、大きな刺激を受けている。

 今回は前回に続き、作品集の81ページ~120ページを読んだ。40ページ、80名の800句を読んだ事になる。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1句。M・甚四郎さんの「雛飾り」10句より。

雛飾り言葉少なに老夫婦

 娘が、雛を連れずに嫁いだのだろう。雛を飾って、娘への思いはあるけれども、言葉にしないのだろう。

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月 6日 (金)

歌誌「コスモス」5月号「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年5月号より、「COSMOS集」を読みおえる。

 同・「その一集」特選欄の読了は、先の5月3日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の特選欄であり、「コスモス」の華の1つである。「コスモス」の若手、新人の新しい秀作が集まっている。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「あすなろ集」特選、T・泉さんの「パンはまつさら」5首より。

この一世に入り来たる子はつぎつぎと我のトランプひつくり返す

 身の内に潜んでいた心情の発現の驚きを、新鮮な比喩で表した。

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月 4日 (水)

「梅崎春生全集」第1巻(6)

 沖積舎「梅崎春生全集」(全・8巻)の第1巻(1984年・刊)より、最終6回めの紹介をする。

 同・(5)は、先の4月20日の記事(←リンクしてある)で、7編を紹介した。

 今回に読んだのは、「眼鏡の話」、「上里班長」、「ある失踪」、「演習旅行」、「大夕焼」、「年齢」の、6編である。

 戦闘の切迫感ではなく、配属中にメガネのレンズを失くした話、残飯をめぐる話、1兵の失踪帰還の話(逃亡となれば大事件だった)、規律の既に乱れかかった兵の小競り合いの話と、小事だが軍では大事件のストーリーが続く。

 「大夕焼」は、配属中に因縁のあった島へ、18年経て旅する話である。「年齢」は敗戦直後、帰郷する列車の中で、歳若い元・上司に意趣返しをして嫌な思いをする話である。

 戦闘行為が無かった、期間が短かった等、関わりが薄くても、戦争に受けた傷が深い兵はいただろう。

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

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