カテゴリ「小説」の116件の記事 Feed

2016年1月10日 (日)

有川浩「ヒア・カムズ・ザ・サン」

Cimg8679 先の1月8日(金曜日)に、ショッピング・モール「パワーセンター ワッセ」(大型ビルではなく、広場に1階建ての多くの店が、四角形に並び、中央は駐車場になったもの)内の事務用品店「COPY EXPRESS」で買い物し、帰途にTSUTAYA(店名は知らない)に寄った。自動車で行くので、帰途には左側のその店が入りやすい。

 文庫棚では、流行が変わったのか、なじみの作家の名前が、売り出し中のコーナーにない。

 有川浩(ありかわ・ひろ)の名前を覚えていて、あいうえお順の作家名で探して、シリーズ物でない「ヒア・カムズ・ザ・サン」を買うことにした。

 新潮文庫、定価・529円(税込み)。Tポイントを173ポイント全部使った。

 この文庫本には、「ヒア・カムズ・ザ・サン」と「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」が収められ、後者は前者を舞台化したものを観ての(ノベライズでない)parallel worldだという。作家の想像力は、果てしないものだ。

 全集類など読みかけの本が幾つかあるのに、また本を買った。読みおえたなら、ここで紹介したい。

2016年1月 8日 (金)

梅崎春生「埋葬」「失われた男」「B島風物誌」

 沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、「埋葬」「失われた男」「B島風物誌」を読みおえる。

 前回に読了した3編は、昨年12月3日の記事(←リンクしてある)にアップした

 「埋葬」は、回想記風の小品である。

 「失われた男」は、逃亡に至る兵士を描く。

 「B島風物誌」は、のどかな題と異なって、ジャングルに逃げ込んだ1隊が、本部隊の命令のまま移動できず、次々に兵士が(主人公「おれ」を含めて)餓死する物語である。実体験より離れるが、軍隊の苛酷さは描かれた。誰にでもある飢えの記憶により、切迫感を伴って。

 戦後の風潮に抗う心があったのかも知れない。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、蕪の1枚。

2016年1月 4日 (月)

同人誌「青磁」第35号

Cimg8673 昨年末、県内に在住の詩人・作家であるS・道明さんより、同人誌「青磁」第35号を頂いた。

 2015年12月、青磁の会・刊。

 S・道明さんには、僕が編集役の2人詩誌「群青」を毎号、送らせてもらっているので、年末にそのお返しだろうか。

 ただし僕の根気も衰えて読書は、詩歌句、短編小説集までがせいぜいである。

 重厚な小説と評論を集めた「青磁」を読む自信がない。

 それで目次の主な所を挙げて、謝礼の意を表する。

 K・嘉城「波紋」(小説)。H・二三枝「藤の花房」(評論)。M・正道「旅の空から」(小説)。S・道明「続杉堂通信」(小説)。

 総100ページ。

2015年12月18日 (金)

干刈あがた「借りたハンカチ」

Cimg8654 干刈あがたの短編小説集「借りたハンカチ」を読みおえる。

 彼女の小説はこれまで4冊(初めから順に、「黄色い髪」、「十一歳の自転車」、「ゆっくり東京女子マラソン」、「ウホッホ探検隊」)を読んでおり、直近の「ウホッホ探検隊」は今年8月6日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「借りたハンカチ」は、集英社文庫、1992年1刷。

 この短編集は、「日曜日のショルダーバッグ」「賃貸契約書」「指輪と文庫本」「必殺アミタワシ」など、物をテーマにした21編より成っている。

 例えば「指輪と文庫本」は、12ページという短さである。

 ほとんどの作品が庶民を描いており、小遣いを貰えず祭りへ行けない女の子から、3軒の貸し家を持つ老寡婦まで。

 時に告白体になるのは、文体の発展か後退か、僕にはわからない。

2015年12月 3日 (木)

梅崎春生「桜島」「崖」「日の果て」

Cimg8622 このブログで書いた通り、「三島由紀夫全集」(36巻版)の第1巻を、途中を飛ばしながらも読みおえ、第2巻に入ったが、初めの「盗賊」で躓いた。戦前の華族青年男女の、くだくだしい恋愛心理の描写に惹かれなかったからだ。

 これはいけない、三島由紀夫全集はさて措いて、別の小説を読もうと思って、「梅崎春生全集」(全8冊)の第1巻を出して来た。

 「桜島」「崖」「日の果て」を読みおえる。

 戦前の習作(?)は別として、彼は「桜島」によって文壇に登場した。1945年7月初めから敗戦まで、桜島で通信兵として従軍した「私」の視線で軍隊が描かれる。戦闘場面はないが、後からの修飾も加えて、軍隊の非人間性が描かれる。

 「崖」「日の果て」と進むに従って、シチュエーションは深刻になるが、フィクションも強くなって、衝迫性を描くのに、作者は苦労しているようだ。

2015年11月 4日 (水)

有川浩「植物図鑑」

Photo_2 有川浩(ありかわ・ひろ、女性作家)の小説、「植物図鑑」を読みおえる。

 幻冬舎文庫、2015年24版。

 購入については、先の10月17日付けの記事(←リンクしてある)、「手許の3冊」で報せた。

 僕は既に、彼女の小説を2作読んでいる。

 マンションの植え込みに行き倒れになっていた青年・樹(イツキ)を拾った、さやかが同居するようになり、同棲するようになり、1時は樹が立ち去って危機を迎えるが、樹は家との揉め事を決着させ、戻ってきて求婚するというハッピーエンドの物語である。

 常とは逆の、girl meets boy の物語である。大きな糸である「野草料理、採取」には、あまり関心を持てなかった。 

 ハッピーな進行は、ややイージーだが、恋人たちには有り得るストーリーだろう。

2015年10月17日 (土)

手許の3冊

Cimg8587

Cimg8588

 「鯖江詩の会」代表の千葉・Aさんが、その会の発行する詩誌「青魚」No.83を送って下さった。

 僕はソネット8編を載せてもらった。その内容は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」(←リンクしてある)の、10月12日付け記事より、毎日1編ずつ紹介しているので、ご覧ください。

 また10月11日の「第10回苜蓿忌」のおり(記事は10月12日付けにアップ)、小林年子さんより、詩文集「白い品格」をいただいた。地方の文化活動などに、尽力される方である。

Cimg8594

 先日、楽天ブックスより、有川浩(ありかわ・ひろ)の小説、「植物図鑑」を買った。

 幻冬舎文庫、2015年・24刷。

 僕はすでに、彼女の小説の2冊、「レインツリーの木」と「阪急電車」を読んでいる。

2015年10月16日 (金)

村上春樹「風の歌を聴け」再読

Cimg8584 村上春樹「風の歌を聴け」を再読する。

 講談社文庫、2002年65刷。

 1979年・発表、群像新人賞・受賞。

 僕が初めて講談社文庫で読んだのは、新刊に「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」があったと記憶しているので、1985年頃だっただろうか。

 初めに読んだ頃、よく判って面白かった、という記憶が無い。当時は仕事と家庭に懸命だった。

 今、再読(短時間のこま切れを重ねて――短章を重ねた形式なので合う)してみると、1970年代の白けた雰囲気が良く出ている。

 ただし主人公が、<鼠>と書かれる金持ちの息子の友人や、女性との、交際を重ねて乗切ってゆく様が描かれる。幸運な青年である。

2015年9月29日 (火)

江國香織「赤い長靴」

Cimg8564 江國香織の小説、「赤い長靴」を読みおえる。

 文春文庫、2008年1刷。

 彼女の小説の読了は、今月17日の記事(←リンクしてある)、「ぬるい眠り」以来である。

 「赤い長靴」は、14章より成り、多く妻・日和子側から、少なく夫・逍三側から語られる。

 妻(パートで働く)は、夫や夫の両親に「言葉が通じない」と感じている。

 帰宅した夫に語りかけても、「うん」ぐらいの返事で、テレビかパソコンを観る。かつては、ちゃんと答えて、というように言っていたのが、今は反応がないと、くすくす笑うようになっている。

 夫は、経済力と、外圧からの防御で、妻を守れば良い、とは言えないようだ。

 疎通の少ない(それでいて閉鎖的な)夫婦を描いて、彼女には珍しい作品だと、僕は考える。

2015年9月27日 (日)

古井由吉「山躁賦」

Cimg8562 古井由吉の小説、「山躁賦」を読みおえる。

 集英社文庫、1987年・初版。

 この本の購入は、このブログの2012年3月4日の記事に載っている。

 彼の小説の読了は、2012年8月13日の記事(←リンクしてある)、「行隠れ」以来である。

 「山躁賦」は、関西方面(四国を含む)の山頂や谷あいの神社仏閣旧跡をめぐる12話より成る。

 もちろん観光記ではなく、「いかめ坊」という僧兵や、裸木の桜に花を見る、といった幻想に満ちている。

 この本の初刊が1982年4月であり、ソ連崩壊・東欧革命どころか、バブル景気の始まり(1986年とされる)以前であり、失われた20年を経た現在とは、社会も人の心情も異なる。

 彼の晦渋な文体は、その時代に、自己の真実を表現するための、方策だったであろう。ムジル、ブロッホなどの翻訳から出発して、題材に日本回帰の相は見えるけれども、没入はしていない。

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