カテゴリ「小説」の116件の記事 Feed

2015年9月25日 (金)

有川浩「阪急電車」

Cimg8554 有川浩(ありかわ・ひろ)の小説、「阪急電車」を読みおえる。

 幻冬舎文庫、2015年43版。

 彼女の小説は、今年7月14日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「レインツリーの国」に続き、2冊めである。

 この本は、ドラッグストア・ゲンキーでキシリトールガムなどを買った帰途、TSUTAYAに寄って買った。税込み575円の所、Tポイント262ポイントを、ようやく使えた。

 小説は、阪急電車・今津線の8駅の折り返し、16話で成っている。

 恋の始まり、離別の決意、裏切った恋人と友人を呪う娘などが、折り返しで少し月日をずらして、後日譚を含めて語られてゆく。

 常に前向きに終わるのは、リアルでないかも知れないが、励まされる読者がいるのだろう。僕は、今の若者の気持ちが、少しわかった気になる。

2015年9月17日 (木)

江國香織「ぬるい眠り」

Cimg8541 江國香織の短編小説集「ぬるい眠り」を読みおえる。

 新潮文庫、2007年・刊。

 今年5月3日の記事(←リンクしてある)、「ホテル カクタス」以来の、彼女の本である。

 1989年~2003年発表の、9編の短編小説、「ラブ・ミー・テンダー」、「ぬるい眠り」、「放物線」、「災難の顛末」、「とろとろ」、「夜と妻と洗剤」、「清水夫妻」、「ケイトウの赤、やなぎの緑」、「奇妙な場所」を収める。

 彼女の小説には、恋と性にこだわった作品も多い。僕には、よく判らない。

 50歳、52歳、69歳の女性が年末に年1度だけ会って、食事し、買い溜めをするストーリーの「奇妙な場所」の、グロテスクなユーモアが親しく感じられる。

2015年9月10日 (木)

「三島由紀夫全集」第1巻(3)

 新潮社「三島由紀夫全集」(36巻本)第1巻を、ほぼ読みおえる。

 このブログの記事(←リンクしてある)では、2014年10月23日の「同」第1巻(2)以来である。

 前回は「玉刻春」まで読んだが、その後の「世々に残さん」に行き泥んで、これは戦前の作品は後回しにしよう、と思った。

 それで戦後、川端康成に認められた「煙草」まで、8作品を飛び、「煙草」以降の7作品を読んだ。最後の「鴉」に、住込みの若い衆、という孤独な庶民がファンタジックに描かれていて惹かれた。

 第2巻に読み入らねば。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、栗の1枚。

2015年8月 6日 (木)

干刈あがた「ウホッホ探検隊」

Cimg8510 干刈あがたの小説集、「ウホッホ探検隊」を読みおえる。

 福武文庫、1986年2刷。

 彼女の小説集は、先の7月17日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「ゆっくり東京女子マラソン」以来である。

 この本には、「ウホッホ探検隊」、「プラネタリウム」、「雲とブラウス」、「幾何学街の四日月」、4編を収める。

 「ウホッホ探検隊」と「プラネタリウム」は、離婚した母親が、二人兄弟の子とともに、まっとうに生きようとする物語である。気を張り詰め過ぎて、時に神経症的になるくらいである。

 この離婚家庭の理想を追い求める根源には、学生時代にユートピアを追い求めた、尾を引きずっているのだろうか。

 このように良い人たらんとする姿勢は、長続きさせられなかったのか、干刈あがたは1992年に49歳で亡くなっている。

 あとの2編を含め読みたい方は、本を買うなり借りるなりして、読まれたい。

 なお写真は、文庫本の表紙である。

2015年7月14日 (火)

有川浩「レインツリーの国」

Cimg8487 ここの7月8日の記事、「文庫本2冊と詩集」で入手を報せた3冊の内、有川浩「レインツリーの木」を読みおえる。

 新潮文庫(帯・付き)、2015年31刷。

 有川浩(ありかわ・ひろ、女性)は、「図書館戦争」シリーズで有名な(僕は読んでいない。この作品が初めて、である)作家。

 「ひとみ」のブログ「レインツリーの国」で、「伸」と出会って、困難があり(「ひとみ」は後発性難聴であり、「伸」にもトラウマがある)、前向きなハッピィエンドとなる。

 障害は誰でも、心身や生活に抱えており、二人の恋は健全だと思う。

 このような現代の恋愛小説に不慣れで免疫がないせいか、オジサンは感動するのだった。

2015年7月11日 (土)

干刈あがた「十一歳の自転車」

Cimg8484 干刈あがた(ひかり・あがた、1943年~1992年、享年49.)の短編小説集「十一歳の自転車」を読みおえる。

 ここで取り上げた彼女の小説は、2013年9月28日の記事(←リンクしてある)、「黄色い髪」のみである。

 「十一歳の自転車」(集英社文庫、1991年・刊)には、21編の<物に関わる>小説を収めている。初めから「十一歳の自転車」「秋のサングラス」~終いの「青いヘルメット」に至るまで。

 短めの短編小説、長めの掌編小説、という感じで読める。

 例外を除いて、ほとんど庶民・弱者の世界を描く。

 単行本の刊行が1988年なので、バブル末期と思われ、まだ多くの者を救えるという思いがあったのだろう。

 それ以降(アベノミクスの恩恵を受けず)の世界では、猟奇的な、悲惨な事件も起きている。彼女の闘士ぶりを、もっと見たかった。

2015年7月 8日 (水)

文庫本2冊と詩集

Cimg8477

Cimg8476

             

 最近、2冊の文庫本を買った。

 有川浩「レインツリーの国」(新潮文庫、2015年31刷)は、TSUTAYAでTポイントを使うために買ったが、店員との行き違いでポイントを使ってもらえなかった。

 桂川甫周「北槎聞略」(岩波文庫、2012年11刷)は、書店「KaBoS二の宮店」で、妻に貰った図書カードを使って。

Cimg8480

 また県内の詩人・中国文学者、前川幸雄さんが、詩集「縄文の里 讃歌」(以文会友書屋、2015年4月・刊)を送ってくださった。

 いずれも読んだなら、ここで紹介したい。 

続きを読む »

2015年6月25日 (木)

岡本かの子「渾沌未分」

 Google Play Booksより青空文庫発でタブレットにダウンロードし、岡本かの子の小説「渾沌未分」を読みおえる。

 同様にして読んだ彼女の小説は、今年4月18日の記事(←リンクしてある)で紹介した「金魚撩乱」以来、10編めである。

 また今の所、他の彼女の小説は、無料では見当たらない。ちくま文庫版・全集の端本2冊があるので、それを読むしかない。

 ストーリーは、逼迫した古式泳法の家元の一人娘、小初が、援助者の貝原に愛人になるよう求められ、交友があるが左程惹かれない薫とも別れ、遠泳会で強い雨の中を、どんどん沖へ泳いで行ってしまう、という結末となる。

 水中で小初と薫が戯れる場面を、高校の図書室で読んだ、40数年前の茫とした記憶がある。

Photo

「フリー素材タウン」より、アジサイの1枚。

2015年6月11日 (木)

徳田秋声「花が咲く」

 Google Play Booksより青空文庫・発でタブレットにダウンロードし、徳田秋声の短編小説「花が咲く」を読みおえる。

 先の6月7日の記事(←リンクしてある)で紹介した、長編小説「仮装人物」に継ぐ。

 不倫相手の女性に子供が生まれ、作家は自分の子かどうか疑うのだが、仲介者が入って手を切れそうになる。

 妻が険悪になったと書いてあるが、不倫相手の女性に子供が出来れば、女性は心にも生活にも格段の負担を負う事になる。自然主義作家でありながら、その辺の事情も判らなかったのだろうか。

 末尾では、2浪した息子の受験合格を喜んで、家族・近隣と花見に出掛けよう、という呑気さである。

Pixabayフリー素材サイト「Pixabay」より、サクランボの1枚。

 

2015年6月 7日 (日)

徳田秋声「仮装人物」

 Google Play Booksより青空文庫・発でタブレットにダウンロードし、徳田秋声の長編小説「仮装人物」を読みおえる。

 電子版では量がわからなく、結局読み継いで長編であった。初めて読む作家だろう。

 徳田秋声(1872年~1943年)は、硯友社から出発し、自然主義作家として活躍した。1時期の低迷期を脱し、「経済往来」誌に1935年~1938年、連載した小説が「仮装人物」である。

 自身に擬せられる主人公の、妻の没したあと、作家志望の「葉子」が身辺に入り込み、複雑な情痴を展開する物語である。

 美と醜をかねた情痴と同じく、小説もくねってゆくが、文章に破綻が無いのは流石である。

 徳田秋声の小説を幾編か、タブレットに収めてあるので、これからも読んで行く予定である。

Roses194490_640

フリー素材サイト「Pixabay」より、バラの1枚。

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