カテゴリ「詩集」の190件の記事 Feed

2013年11月15日 (金)

「詩集ふくい2013」

Cimg7368 福井県詩人懇話会より、「年刊 詩集ふくい2013 第29集」が届く。

 題名通り、福井県在住者を主とする、年刊アンソロジー詩集で、今回は58名66編の掲載である。

 僕はソネット「忙しい昼休み」を寄せた。

 ただし僕のアメブロ「新サスケと短歌と詩」の今年5月18日の記事(←リンクしてある)に既発表である。

 この詩集を年1回の晴れ舞台と張り切る人、同人詩誌等に属していなくてここだけが創作詩の発表の場の人もいるようだ。

 僕は2つの詩誌に属しており、ネットに創作を発表する事もできるので、「詩集ふくい」への発表は、お付き合い程度にしたい。

 新しい詩人、寡作な重鎮の発表もあって、心惹かれながら読んだのだけれども。

2013年9月13日 (金)

「ハイネ全詩集 Ⅲ」

Cimg7207 「ハイネ全詩集」全5巻より、「Ⅲ」を読みおえる。

 角川書店、1972年・刊。井上正蔵・完訳。

 今年8月7日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「Ⅱ 新詩集」に継ぐ本である。

 この「Ⅲ」には、「アッタ・トロル」と「ドイツ 冬物語」が収められる。

 「アッタ・トロル」は、大道で踊りをさせられていたが、逃げ出した熊の物語である。

 以前に文庫本でか読んでいたが、今回も読んだ。

 何かの寓意である事は明らかだが、社会情勢が実感できないので、誰のどういう所を揶揄しているのか、よく判らない。

 「ドイツ 冬物語」には、期待していた。故国の季節の冬と、時代の冬を重ね合せた、荘重な物語を期待したのだ。

 しかしこの篇には、フランスより13年ぶりに帰国した詩人の、故国への愛着と嫌悪が並んでいるようだ。詩人の胸中が、冬の状態だった。

 まだこのあと、「ロマンツェーロ」と「最後の詩集」の2大冊が待っている。

 

2013年9月 9日 (月)

電子書籍版「立原道造詩集」

 CDより、電子書籍版「立原道造詩集」を読みおえる。

 これは3回めであって、1回めは2011年9月22日の記事、2回目は2012年3月19日の記事(←リンクしてある)に、アップした。

 原本は、角川文庫「立原道造詩集」、1959年17版、216ページ。

 僕は今回、8回に分けて読んだ。pdf版の本を読むのに、少し慣れた。

 立原道造の詩は、ほとんどソネットであって、この本ではそのほとんどを、見開き2ページに1編ずつ載せてあって、読みやすい。

 「言葉にはいつか意味がなく……」「それはかつてメタフィジィクの幻滅だった」など、現代の詩に通じる、方法意識がある。

Photo
写真素材サイト「足成」より、梨(洋梨?)の1枚。

いよいよ秋めいてきた。

2013年8月20日 (火)

プーシキン「サルタン王ものがたり」

Cimg7162 蔵書より、プーシキン「サルタン王ものがたり」を読みおえる。

 角川文庫、1969年・刊、稲田定雄・訳。

 翻訳が行分け、連分けされているので、ことわってはいないが、詩篇であろう(解説には、翻訳を「原作通り詩の形で…」云々)。原文は、韻を踏んでいるだろう。

 内容はメルヘン風な物語で、強いて読めば権力者や、奸臣や、庶民の強欲への批判が、読み取れないこともない。

 ただメルヘンとして、楽しく読みたい。全6編。

 未完の「雌熊ものがたり」は、ハイネの長編詩「アッタ・トロル」(1843年・発表)に通じる所があり、プーシキン(1837年・没)の遺志を継いだのか、共通の原話(民話)があるのか。

2013年8月 7日 (水)

「ハイネ全詩集 Ⅱ」

Cimg7147
 「ハイネ全詩集 Ⅱ 新詩集」を読みおえる。

 角川書店、1972年・刊、全5冊より。

 460ページ、A5判、1段組み、1ページ16行、挿絵あり、という豪華さである。

 井上正蔵・完訳。

 今年6月9日の記事(←リンクしてある)、「同 Ⅰ 歌の本」に継ぐ本である。

 前の詩集の暗い恋と違って、この詩集には、いわゆる「ハイネの甘い恋の詩」が多い。

 末尾の「時事詩」群では、諧謔的に風刺しているが、マルクスらとの交流も、今となっては虚しい。

 第Ⅲ巻以後の詩集も、読むのが楽しみである。

2013年6月 9日 (日)

「ハイネ全詩集 Ⅰ」

Cimg7038_2 「ハイネ全詩集 Ⅰ」を読みおえる。

 1972年、角川書店・刊。

 全5冊、井上正蔵・完訳。

 詩集「歌の本」(原著は1827年・刊)の全訳を収める。

 内容は、片恋、失恋の詩が多く、墓場、死と結び付けられもする。

 井上正蔵氏の完訳は尊いが、1部では57調になったり、古語が出て来るのは、僕には困った事である。

 写真は、箱の表であり、傷みが多い。

 ほぼA5判、1段、644ページの大冊である。

 このブログの2007年5月22日の記事「ハイネ詩集」に、「僕は『ハイネ全詩集』を持っており、いつか読みたい」と書いてより、ほぼ6年を経て、読み始めたのである。

 また2010年3月6日、5月13日の記事で、「ハイネ散文作品集」全6巻の購入を報せたように、僕はハイネ(1797~1856)の生涯に関心がある。

2013年5月11日 (土)

山田清吉「土偶」

Cimg6962
 県内にお住まいの詩人・山田清吉さんが7番め(巻末「著者について」に拠る)の詩集、「土偶(でこんぼ)」を送って下さった。

 2013年6月、紫陽社・刊。34編。

 彼は1929年・生、日本農民文学会会員、詩誌「角(つの)」同人。

 農に生きて来て、末期を思い、またインド・ネパール・チベットと遠い旅を重ねて、感慨を綴る。

 東日本大震災をめぐって書かれた作品があり、次に「海 3・11」より、初めの部分を引く。


どうすればいいんじゃ

どうすればいいんじゃ

手足まといになるからくるな

友は口をあけたまま砂を

目はひらいたまま涙を

ガレキの隙間から

うかがい待っているというのに

    (後略)

2013年5月10日 (金)

赤嶺盛勝「夢のかけら Ⅲ」

Cimg6959
 沖縄県・在住の詩人・赤嶺盛勝さんの詩集、「夢のかけら Ⅲ」を読みおえる。

 5月6日の「群青の会」会合(記事あり)のおり、AUさんより譲っていただいた詩集である。

 2013年4月、間隙出版販売社・刊。

 1993年・刊の同「Ⅰ」、2005年・刊の同「Ⅱ」につづく詩集である。

 沖縄県の社会と生活の特殊性に苦しんできた面がある。

 以下に巻頭の「果実を下さい」の末尾を引く。


愛というには貧しすぎ、恋という

には異形で、胸の空洞をドラの

一声で虎はゆっくり離れてゆく

もう熱帯魚など食うまい。極北

の寒さに満ちた水々しい果実が

青々としてまた満ち満ちて来る

あ!あの果実を一つ下さい

2013年3月17日 (日)

一色真理「エス」

Cimg6843 一色真理(いっしき・まこと、1946~)さんの詩集「エス」を読みおえる。

 2011年、土曜美術社出版販売・刊。

 帯、29編。

 先の2月26日に、詩誌「群青」の同人3人が、喫茶店に集まった時(記事あり)、僕がAUさんに借りた詩集2冊のうち、後の1冊である。前の1冊は、3月3日の記事に、「相沢正一郎・詩集」と題して、アップしてある。

 彼は父との強い葛藤に由って詩作しているようだ。「あとがき」に、「父についてはこれまで折にふれてさんざん書いてきた。」と書かれるが、僕は彼の著作を初めて読んだので、作品を読むしかない。

 シュールリアリズムは、現実の変形(デフォルメ)と、取り合わせの意外性、だと思うけれども、彼の異空間は、ダダイスム(論理性を越えたもの)との、習合かと思う。

 幼少年期に苛烈な体験に遭った彼が、表現できるぎりぎりのスタイルなのだろう。

 詩「こわれた蝶々」全6連より、あとの3連を引用する。

  こわれた蝶々

  (前略)

あいた穴から

意味のわからない言葉や

外れたネジや配線が

ばらばらと落ちていきます。


どこかでヒューズが飛んだらしく

お日さまも消えて


ぼくの心の中も停電で

真の闇です。

2013年3月 3日 (日)

相沢正一郎・詩集

Cimg6812
 相沢正一郎さん(1950年・生)の第5詩集(巻末の略詩歴に由る)、「テーブルの上のひつじ雲 テーブルの下のミルクティーという名の犬」を読みおえる。

 2010年、書肆山田・刊。

 第48回藤村記念歴程賞・受賞。

 先の2月26日に、詩誌「群青」の同人3名が、喫茶店「モントリオール」で会った時、AUさんより僕が借りた詩集2冊のうち、1冊である。

 21編の散文詩を収める。自分の作のポエジーに、よほど自信があるのだろう。

 亡き妻、父母、飼い犬と語ったり、眠りに落ちる夢うつつのあわいを描いたり、シュールリアリズムというより、バーチャルな(虚像の。仮想的。)世界である。

 最初の作品「庭」より、1部を引用する。


(前略)        小さな池も枯れた――尾をふりながら背中

をひからせていた魚たちは、しずかに空にながれだした。水の

おもてにうつった、ゆれる顔も……。

(後略)

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