カテゴリ「詩集」の190件の記事 Feed

2011年12月29日 (木)

佐々木悠二「美的生活のすすめ」

Cimg5567 今月20日に、AUさんより借りた詩集6冊(当日、記事あり)のうち、4番めの佐々木悠二「美的生活のすすめ」を読みおえる。

 2004年、書房犀・刊。

 当時89歳の著者が、フェラーリを駆ってブラジルを訪れたり(「ボサノバの聞こえる街」)、また「スノッブな生き方が好きだ」と公言して(「ネービーブレザー」より)、からだ作り、身の回り品を高めるために努めて、美的生活を享受しているようだ。

 それが上品ぶった上滑りにならないのは、事務所を維持するなど、生活がまっとうだからであろう。

 僕からすれば、音楽を聴く、パソコンに向かう、読書をする、創作もする(これは彼も実行しているが)など、つつましい楽しみを得てゆけば良いだろうに、という思いを抱く。

2011年12月27日 (火)

桂川幾郎「わたし は わたし か ?」

Cimg5563 12月20日に、AUさんに借りた詩集6冊のうち、3番めの、桂川幾郎さんの第3詩集、「わたし は わたし か ?」を読みおえる。

 巻頭の「鏡の部屋」に、

  「ここはどこ?」

  「わたしはだあれ?」


  
「出口はどっち?」

   「隙間はどこ?」

 とあるように、自己喪失が大きなテーマである。

 老化、「ことばが とおくに」と空虚感を示す。

 ひとりの若者へ、父へ、挽歌を送りながら、巻末の「レッド・アイのある夏」では、家族との絆の中に、自己の居場所を見つけている。

 

2011年12月25日 (日)

「春山行夫詩集」

Cimg5558_2
 先日、家のパソコンに向かっている時、5分ほど待つ必要があって、「日本の古本屋」で「春山行夫詩集」を検索した。

 すると、5250円の1冊が出ていた。ここ1年間くらい欲しくて、でもこれまで12000円とか、14000円の本では買えなくて、もやもやしていた。

 格安の本が出たので、コメントに「汚れや、書き込み等が無ければ買います」と添えて、東京都の「ほん吉」に注文した。

 魔の5分間だった。

 前払いなので、12月15日に本代と送料と振替手数料を郵便局のATMで支払った。(郵便振替は、入金確認まで日数がかかる)。さらに「ゆうメール」で送るという事で、配達をしている昨日(24日・土曜日)に届いた。

 1990年、吟遊社・刊。

 この本は、春山行夫(1902~1994)の、実質的な全詩集である。

 「北園克衛全詩集」、「安西冬衛全詩集」に加えて、戦前よりの3大モダニスト詩人の、全詩集が揃った。

 それらを、いつ読み始められるかは、わからない。

2011年12月24日 (土)

桂川幾郎「妻のいない夜」

Cimg5554 今月20日に(記事あり)、AUさんに借りた詩集6冊のうちの、1冊を読みおえる。

 桂川幾郎(かつらがわ・いくろう)さんの第2詩集、「妻のいない夜」である。

 紫陽社、1988年・刊。

 彼は岐阜県・在住、僕とほぼ同世代である。

 関心の向く所が似ているようで、彼のほうが大人である。

 表題作の「妻のいない夜」には、次のフレーズがある。

要するに

妻のいない夜には

私は

私と向い合うしかないということなんでしょうね

 僕は、自分と向い合う事を避けて、パソコンに向かっているような思いをする。短かった少年期、無慚だった青年期と向い合っても、しようが無い気がして。

 巻末の「短詩篇」のしまいの作、「本音」はショックだった。後半を引く。

君はまだこだわっているのか

 (本音で生きられるような幸福な時代は

 とっくの昔に終ったんだよ)

 僕はそれでも、本音を語り合える、何人かの友人をほしいと思う。

2011年12月23日 (金)

牧野よしえ「白菜漬け」

Cimg5550 福井県に在住の詩人、牧野よしえさんの第1詩集、「白菜漬け」を読みおえる。

 新・北陸現代詩人シリーズ、2011年10月、能登印刷出版部・刊。

 今月20日に(記事あり)、AUさんより借りた詩集6冊のうちの、1冊である。

 彼女は、僕より4歳年上である。

 人生(とくに嫁してより)の哀歓を経て、今は穏やかな心境にあるようだ。

 またカバー裏見返しの経歴を読むと、童話創作も成すようだ。

 以下に、好ましく思ったフレーズを引く。

 「雪桜」より。

満開の雪桜を見た

和紙のようなやわらかい灯りにつつまれ

牡丹桜が浮かびあがっている

細い枝の先々までも

こんもりと咲き誇って

 「お見舞い」より。

顔には一〇〇年間

生きて来た年輪がきざまれている

 ~手鏡がほしいの

と 私の顔をみつめる

長年の美容師としての習性だろうか

女としての業 それとも執着だろうか

 「東風の吹く頃に」より。

いま

父のように 受けとめる術を覚え

母のように やり過ごす知恵もついた

2011年12月18日 (日)

有馬敲「迷路から」

 今年11月30日の記事で紹介した、有馬敲さんに頂いた3部作詩集「転生記(てんしょうき、1993年・刊)より、第2部「迷路から」を読みおえる。

 11月30日の記事で、「ほとんどがソネット形式の詩である」と書いたが、ここまで読んで、459編すべてがソネット詩であることがわかった。

 第1部「終りのはじまり」117編の読了を報告したのは、今年12月7日の記事である。第3部「白い闇」は、単行本詩集で読みおえているので、省略したい。

 第2部「迷路から」は、213編のソネットより成り、心の苦しむ仕事、体調の不良、宿酔、帰郷、地方への旅(詩の朗読会を含むようだ)などを描きながら、カタルシスを得られず、まさに「迷路」をさまよう姿である。

 はじめの方の「3」を引く。

  迷路から 3

     有馬敲


ステンレスの机 椅子

見えない鎖につながれて

くりかえしの手仕事を

いつまでも課せられている


のどが渇く

いやす水をもとめて

手洗いへ席を立ってゆくと

(おお わずかばかりの自由)


廊下の空気はここちよく

あかあかと蛍光灯がともり

軽い音楽まで流されている


祝福せよ 徒刑囚を

前かがみに白い便器をまたぎ

全身から水分を絞り出す

2011年12月 9日 (金)

「現代詩年鑑2012」

Cimg5520
 楽天ブックスに注文した、「現代詩手帖12月号 現代詩年鑑2012」が届いた。

 2011年12月、思潮社・刊。

 「詩人住所録」には僕の名前が、「詩書一覧」には僕が今年に出版した詩集「光る波」が、「詩誌一覧」には僕の属する同人詩誌「群青」「青魚」が載っている。

 他に3詩人の「展望鼎談」、140編のアンソロジー詩選、多くの評論がある。

 アンケート「今年度の収穫」も多くのページにわたる。

 末尾の「思潮社2012図書目録」も便利である。

 アンソロジー詩編や詩論を読みたいと思うが、毎年、少ししか読んでいない。

2011年12月 7日 (水)

有馬敲「終りのはじまり」

 有馬敲(ありま・たかし)氏の3部作詩集「転生記」より、第1部の「終りのはじまり」を読みおえる。117編のソネット集である。

 詩集「終りのはじまり」の発行が1973年で、1968年頃にさかんだった学生運動への共感と、その敗北後の挫折感を読み取れる作品がある。「ついに革命はできなかった」などの行がある。

 具象と抽象の交錯するゾーンで書かれるので、読み流してしまいそうになる。

 「32」を引く。

  終りのはじまり 32

     有馬敲


解きはなて

武装されたことばを

すきなくよろわれた思考を

素っ裸にせよ


きざな眼鏡もはずして

物にせまるのだ

ぎこちなくあごを張った

そののどぼとけを見よ


絶縁した裏がわから

みごとにそむかれて

いたずらに年をかさねたな


すべてを脱いで

生まれたときのかっこうになり

降りかかる水を浴びるのだ

2011年12月 5日 (月)

「世界詩人全集 23」

Cimg5515 「世界詩人全集」全24巻より、第23巻「現代詩集Ⅳ イタリア スペイン 北欧 ギリシア」を読みおえる。

 新潮社、昭和44年・刊。

 箱、帯、月報、本体にビニールカバー。

 僕は南欧、ラテン系の詩が、比較的好きである。

 ロルカの詩は、全詩集上下巻を読みおえたが、よくわからなかった。

 この集の中では、ヒメネス(おもにヒメーネスと表記する)の詩が、優しかった。彼の散文詩集「プラテーロとわたし」を今、岩波文庫で読んでいる。彼の詩を、もっとまとめて読みたいと思う。

 この集に作品が収められた詩人では、ウンガレッティ、クワジーモド、カヴァフィス、3者の全詩集が蔵書にあるが、まだ読み始められない。

2011年12月 1日 (木)

「ギルガメシュ叙事詩」

Cimg5507 今年10月27日の記事、「約束通りの2冊」で紹介したうち、「ギルガメシュ叙事詩」を読みおえる。

 矢島文夫・訳、ちくま学芸文庫、2008年11刷。

 主となるテキストの欠落を他のテキストで補って、なお不明部分が多い。

 全体で約3600行あったと推定されるうち、約半分しか残っていない。

 英雄のギルガメシュとエンキドゥが協力して、森に住むフンババと戦って倒す部分が、メインのストーリーと思われるが、その叙述は簡略で、ここでも大きな欠落がある。

 そして後日譚と思われる部分が長く、テキストも整っている。

 物語として不完全だが、メソポタミア文明時代の英雄譚(神々の物語ではなく、この2英雄は死ぬ)として貴重である。

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