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2014年1月の27件の記事

2014年1月31日 (金)

安部洋子「西方の湖」

Cimg7520 島根県にお住まいの歌人・安部洋子さんの第4歌集「西方の湖」を読みおえる。

 2011年11月、砂子屋書房・刊。

 彼女は、「湖笛」「未来」会員。

 花山多佳子、池本一郎、山田富士郎、3氏の評を収めた栞を付す。

 周囲に人間の気配が薄い気がする。

 独居しているらしい事、街にも知る人の少なくなった事、それらではなく、本人の関心の向かい方に因るのだろう。

 「西方の湖」こと、近く住む宍道湖は、水の匂いが感じられるまで、深く描かれているのに。

 以下に6首を引く。

矛盾してると呟きながらゆく岸辺北西の風に波しぶき上がる。

バス停に話しかけくる一人の言葉を散らす三月の雪

遠まわりして来しことも幸とせむ夕ぐれの湖透き通るまで

裏切りを責めたることもはるかなり今年の花びら踏みてゆくなり

真闇短きバンフの夜に流星のしたたりに合ふひとつまたひとつ

棕櫚の葉を吹きぬけてゆく風の音あの世の夫がもの申すらし

2014年1月30日 (木)

松村蒼石「寒鶯抄」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、4番めの句集、松村蒼石「寒鶯抄」(かんおうしょう)を読みおえる。

 今月21日の記事(←リンクしてある)で紹介した、斎藤空華「空華句集」に続く本である。

 原著は、1950年、玉虫発行所・刊。

 飯田蛇笏・序、300句、あとがきを収める。

 松村蒼石(まつむら・そうせき、1887年~1982年)は生後40日に父と死別し貧しく、13歳で丁稚奉公に出たが、向学心を失くさなかった。また関東大震災後に妻と長女を亡くしたが、「再び憑かれたように俳句を始めた」(角川源義・解説より)事により乗り越えた。

 このあとに、「露」「春霞」「雪」「雁」の句集がある。

 以下に5句を引く。

東風波に忌日の仏間ひらきあり

冬の虫ところさだめて鳴きにけり

水底をあらはに二月晴れにけり

寒の餅切る日あたりの古畳

蛸突きや睦月の潮にひとり楫

Photo「フリー素材タウン」より、シクラメンの1枚。

2014年1月29日 (水)

「歌壇」2月号

Cimg7514 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2014年2月号を読みおえる。

 表紙が、昨年はイラストでシンプルだったのが、今年は花の写真を大きく編集したものを採っているようだ。

 巻頭20首4氏の内、小池光「道」より「足の爪赤く塗りたる姉むすめ青く塗りたる妹むすめ嗚呼」では、現代短歌文庫3冊に出てきた、娘さんの近況を聞くようだ。

 第25回「歌壇賞」受賞の佐伯紺「あしたのこと」30首には、僕のわからない歌がある。世が変わったのか、僕が古いのか。

 米川千嘉子「馬島」50首は、異論もあるが、力作である。

 特別企画「スイーツの歌―おいしい短歌」は、巻頭エッセイ、7氏の選出歌とエッセイ、共に楽しく読んだ。どちらかと言えば僕は甘党だから。

2014年1月28日 (火)

ポリアンサと水仙

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 左の写真は、ホームセンターで先日に買った、プリムラ・ポリアンサである。

 以前はジュリアン系と呼ばれる小花の種類があって、よく買ったものだが、今は出ていない。

 小鉢の花を飾って、春を待つ心である。

 右の写真は、妻が職場から越前水仙を貰って来て、窓辺の花瓶に挿したものである。

 越前水仙は小輪だが、芳香があるとされる。僕にはよくわからない。

2014年1月27日 (月)

電器店とホームセンターで

Cimg7510_2

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 今日の午前に車で出掛けて、2軒で買い物をした。

 今セール中の電器量販店「百満ボルト」へ。

 左の写真、奥の右側はプリンタ(複合機)用のインク、1セットである。奥の左側は、液晶用ティッシュである。パソコン画面を拭くのに重宝している。手前は、USBメモリ(8ギガ)2本。用途は決まっている。

 そのあと、ホームセンター「みった」へ。

 右写真の奥は、キッチン・クイックルの詰め替え用である。キッチンを拭くのではない。手前の右側は、ビニールテープの3本セット、左側はガムテープである。これも用途は決まっている。

2014年1月26日 (日)

広部英一「邂逅」

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、3番めの詩集「邂逅」を読み終える。

 今月20日の記事(←リンクしてある)に書いた、「鷺」に続く詩集である。

 原著は、1977年、紫陽社・刊。5章、20編を収める。第2回「地球賞」受賞。

 逝いた人たちの魂を、感覚できるもの(蜻蛉や、小鳥らしいもの)、気配として描いている。

 宗教への信仰がなく、死後の魂を信じない僕にも、親しみを感じる詩編がある。それは逝いた人たちを、僕も懐かしく思う時があるからである。

 この5章の分け方の由来もわからない僕は、良い読者ではない。

Photo「フリー素材タウン」より、水仙の1枚。

2014年1月25日 (土)

「コスモス」2月号

 結社歌誌「コスモス」2014年2月号を読む。

 今の所、初めより「その一集」特選までと、「COSMOS集」(「その二集」「あすなろ集」の特選欄)、「新・扇状地」(2名×15首)、他。

 僕が付箋を貼ったのは、「月集シリウス」のM・比呂美さんの次の1首(20ページ)である。

「この歌は相聞でしょ」と言ひにけりあやめのひとがカトレアのひとに

 「の」の古い意味には「~のような」があるが、それだけの意味ではない使われ方であろう。また時・場所も示されていない。

 ファンタジックというより、シュールな作品と僕は思う。

Photo「フリー素材タウン」より、シクラメンの1枚。

2014年1月23日 (木)

詩誌「アリゼ」第158号

Cimg7509 先日、兵庫県にお住まいのS・陽子さんが、お便りとともに、同人詩誌「アリゼ」第158号を送ってくださった。

 昨年11月14日の記事(←リンクしてある)で、同誌157号を紹介して以来である。

 2013年12月末・発行。

 詩20編、詩集評を含む評論6編、エッセイ8編を収める。

 同人30名+寄稿者、隔月刊だと、執筆も大変だが、編集など事務方も大変だろうと察する。

 詩想は明るいものが多いように感じられて、かえって時代の危機を表わしていると思われる。

2014年1月22日 (水)

ビル・クロウ「さよならバードランド」村上春樹・訳

Cimg7505 ビル・クロウ「さよならバードランド」(村上春樹・訳)を読み終える。

 新潮文庫、1999年・刊。

 同じ著者、同じ訳者の「ジャズ・アネクドーツ」を、このブログの2009年8月16日の記事(←リンクしてある)で紹介している。

 ビル・クロウは1950年代より活躍したアメリカのジャズ・ベーシストで、のちにミュージシャン・ユニオンの代表、ジャズ評論家としても活躍した。

 本書には多くのジャズメン(女性歌手などを含む)のエピソードが重ねられている。時には皮肉を交えながら、ジャズを愛した者たちの物語を成す。

 「そして僕のベース・ソロの終わるころにはもうめためたに遅くなっていたので、ズートはあきらめて肩をすくめ、…」の1例の通り、訳文はくだけていて、座談を聴くようだ。翻訳者の、言葉と心の豊かさを、よく表わしている。

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2014年1月21日 (火)

斎藤空華「空華句集」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、3番めの句集、斎藤空華「空華句集」を読みおえる。

 今月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した、秋元不死男「瘤」に続く句集である。

 原著は、1950年、曲水社・刊。

 大谷碧雲居・序、石田波郷・序、212句、菊池麻風・後記を収める。

 斎藤空華(さいとう・くうげ、1918年~1950年)は、渡辺水巴に師事し句作したが、肺結核のため33歳の若さで亡くなった。没後、句友の編集により句集が上梓された。

 差し迫った者は、貧しい者は貧しさを、入獄した者は獄中を、病篤い者は死期の迫っている事を、それぞれ聖化したいようだ。

 以下に5句を引く。

白日の国尽くる所草枯れぬ

海苔干して国の端寒き怒濤かな

秋刀魚喰ひ悲しみなきに似たりけり

早春や誰にか明日の新しき

笹鳴を聞き得て生がありにけり

Photo「フリー素材タウン」より、水仙の1枚を。

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