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2014年6月の31件の記事

2014年6月11日 (水)

堀内正子「雪の化身」

Cimg7739 県内にお住いの作家、堀内正子さんより、詩集「雪の化身」を頂いた。

 面識のない方だけれど、詩誌の住所録やアンソロジー詩集の名簿などであからさまにしているから、驚く事ではない。

 略歴によれば、彼女はこれまでに4冊の小説、1冊の童話集を上梓している。

 初めての詩集らしい。5章と「あとがきに代えて」で、全74編の大部である。

 素直な語り口調で、レトリックも取り入れて、詩編が編まれている。

 時に5音句7音句が多くなり、古さを感じさせる。

 歳を重ねられた女性の本音を語り、清々しい。

 「雪だるまとコンペイトウ」は、童話めいた佳品である。

2014年6月10日 (火)

水上比呂美「潤み朱」

Cimg7738 東京都にお住まいで、「コスモス」会員・「棧橋」同人の、水上比呂美さんの第2歌集「潤み朱」を、取寄せて読みおえた。

 2014年3月、柊書房・刊。

 高野公彦・選、502首。

 第1歌集「ざくろの水脈」は、2009年9月26日の記事(←リンクしてある)で紹介している。

 豊かな心が、豊かな発想の短歌を創らせる。

 連作「八雲立つ」の大作96首に苦吟したようだが、あとがきに「その苦労は大きな財産になるとてもよい経験でした。」とある。

 以下に7首を引く。

ポケットが七つ付きたるズボン穿き戸隠森林公園あるく

日曜の市庁広場に古(ふる)のつく本、服、箪笥ひろげられをり

一斉に銀色の蝶飛びたてり十のハンドベル打ち鳴らすとき

西調布駅工事中ホームより栄螺のなかをくぐるごと出づ

犀川はをとこ川とふ浅野川はをんな川とふ日本海で逢ふ

武蔵より肥後の空まで飛ぶ鳩よ八十円の切手になりて

肩幅の座席にすわり膝幅のカバンを持ちて渋谷に向かふ

 

2014年6月 9日 (月)

ユウェナーリス「諷刺詩集」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、ユウェナーリス「諷刺詩集」を読みおえる。

 今月3日の記事(←リンクしてある)、マールティアーリス「エピグラム集」に続く。

 ユウェナーリスは16編の詩を遺し、第6歌が661行と長く、他は2、3百行程度の詩らしい。ここには第1歌、第3歌、第10歌を、さらに抜粋して邦訳してある。

 諷刺詩は、機知を効かせた短詩を1かたまり、というのが良いように僕は思う。

 更に物語的1編を、中断して訳されると、真意を受け取りにくい。

 ただし解説には、「ヨーロッパの諷刺詩の伝統の真の始祖となった。」とあり、抵抗詩に影響していたかも知れない。


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2014年6月 8日 (日)

ミニ薔薇と白花夾竹桃

Imgp0572

Imgp0575 
 キッチンの窓辺で、鉢のミニ薔薇が3輪咲いた。

 先月29日の記事に付けた写真に続いて、8回めの開花である。

 濃い赤い花だったが、今はピンク色の花になっている。光線等の関係で、色素が不足しているのだろうが、詳しい事はわからない。

 庭では、白花の夾竹桃が咲き出した。夏の花の始まりである。

 

2014年6月 7日 (土)

「知の論理」

Cimg7731 東京大学出版会「知の論理」(1995年・刊)を、ピックアップして(半分くらい)読みおえる。

 先月12日の記事(←リンクしてある)、「知の技法」に継ぐ。

 僕はいわゆる科学(生物学、物理学、数学、ITなど、急速な発展がある)に比べて、社会科学というものをあまり信用しない。

 論理が空転する場合がある事は、論理的に証明されている。

 失われた20年間、経済学もシンクタンクも回復へ持って行けなかった。

 どのようなブレーンがいるのか知らないが、アベノミクスで1部では好景気だそうだが、地方の退職者には及んで来ない。

 企業も官庁も、少人数、長時間労働、低賃金などで、どんどんブラック化している。世間的にもヤンキー化(押しの強い者の行為が通る)が進んでいる。

 論理を形成するには、頻繁に現実を条件として入れなければならないのに、書物等から学んでばかりでは、現実に役立たない。

 3冊目の「知のモラル」は、内省があるかと、読んでみる予定である。

2014年6月 6日 (金)

青山雨子「芭蕉」

Cimg7728 県内にお住まいの詩人、青山雨子さんに頂いた第5詩集、「芭蕉」を読みおえる。

 2014年5月・刊、私家版。18編を収める。

 テーマ的に解きほぐそうとすると深くて、女性論、家族論、人間(個人として、類として)論にまで立ち入らないといけないので、ここでは深入りしない。

 表現的には、「あとがき」の中で彼女が書いているように、(連と連との)飛躍が大きい。

 また「人影」は、ストーリーはわかっても、舞台設定がわからなかった。

 必死に何かを訴えようとする中で、少し力を抜いた「朝顔」などは、わかる思いがする。

 これも「あとがき」で、「いつか私が見ている世界をお伝えできたらと思っています。」とあるように、時代的・世俗的・状況の移る中で、ある日ふいと彼女の作品が身近に感じられるかもしれない。

2014年6月 5日 (木)

詩誌「間隙」第36号、第37号

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Cimg7727_2
 5月31日付け記事にアップした、詩誌「群青」第30号編集会議の時、AUさんから頂いた詩誌、「間隙」第36号、第37号を読みおえる。

 沖縄県・在住のA・盛勝さんが編集する、同人詩誌である。

 第36号には、3名6編の詩、2名3編のエッセイ・論考を載せる。O・孝和さんの、ほとんどひらがなばかり(漢語は1つのみ)の詩「秋の森で」には、新しい比喩があり詩へ寄せる思いの深さが感じられる。

 第37号には、A・盛勝さんの詩5編、エッセイ4編、AUさんの「親書」が載る。AUさんの「親書」は回顧的文章で、彼女の詩を理解する、手助けをしてくれる。

2014年6月 4日 (水)

詩誌「果実」70号

Cimg7720 県内にお住まいの詩人、T・篤朗さんが、同人詩誌「果実」70号を送って下さった。

 「果実」は教員退職者の5名を、同人とする。

 詩は、F・則行「わらいがみさま」「約束」、N・明徳「山茶花」「雲」、W・本爾「父と子」「二月抄」、K・不二夫「ピカソ的な一日」「かっちゃま左義長」、T・篤朗「ひな祭り」「アジサイ」「春を待つ」「お内裏様」「流星ひとつ」、他にエッセイなど。

 W・本爾「父と子」では、施設の父を訪う長男の困惑を、「二月抄」では雪景に亡くなった母を偲ぶ思いを、描いている。

 T・篤朗「ひな祭」では、子らが巣立って老夫婦2人のみとなった家庭(自分たちも、僕の周囲でも、そういう家庭は多い)で、雛人形を飾るのだが、淋しいのか、家じゅうの人形も添え並べる、というストーリーである。

2014年6月 3日 (火)

マールティアーリス「エピグラム集」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、マールティアーリス「エピグラム集」を読みおえる。

 先月29日の記事(←リンクしてある)、ペルシウス「サトゥラ」に継ぐ。

 「エピグラム」とは、「警句、寸鉄詩」の意味である。

 マールティアーリス(40年~104年?)は、短詩1570編を14巻に収めた、「エピグラム集」を遺した。

 短詩にインパクトはあるが、この本でも何十編と並べられ、個人を皮肉ったものが多いだけに、食傷してくる。

 1編を引く。

  貧乏 (5巻、81)

アェミリアーヌスよ、君もし貧乏なら、いつまでも貧乏でいるだろう。

当今は、金持ち以外には、富は得られないのだから。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2014年6月 2日 (月)

法事

 昨日は本家で、法事があった。

 午前11時よりお経をあげたあと、S魚店の離れに移り、会席。参集者19名。

 拙作を1首。


つつがなく兄の差配で法事終ふ母七回忌父十三回忌

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