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2014年7月の30件の記事

2014年7月31日 (木)

「その一集」末まで

 結社歌誌「コスモス」2014年8月号より、「その一集」を、既読の特選欄を除き、通常欄(3首ないし4首・掲載)のすべて読みおえる。

 この欄が、歌誌の中で1番のスペースを占めて、69ページである。

 このように結社歌誌、総合歌誌、歌集、全歌集などを読んでいると、頭が短歌モードになる。

 今号で付箋を貼った1首は、千葉県、・多嘉子さんの次の作品(50ページ上段)である。

泣きじやくる幼はげましなだめつつ手を引く兄の未だ幼し

 ただ、小学生時代の兄とのエピソードが、想い出されるのである。

Photo写真素材サイト「足成」より、滝の1枚。

2014年7月30日 (水)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(3)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年・刊)より、単行詩集未収録詩篇(3)として、「菜の花の黄色に」(1972年)~「晩夏」(1982年)の48編を読みおえる。

 今月22日の記事(←リンクしてある)、同(2)に続く。

 前回分より「舟小屋」「水浴」、今回の「菜の花の黄色に」「午後」「今夜」などの、少年少女の死・消失のテーマは、或いは当時(1972年頃)、学生運動が敗北したあとの若者を気遣うものだろうか、と思う。

Imgp0635庭に咲く、赤花一重の木槿の1枚。

2014年7月29日 (火)

「渡辺白泉全句集」より(4)

 沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、4回めの紹介をする。

 今月26日の記事に、同(3)がある。

 今回の紹介は、1957年4月・刊行の「筑摩書房版 現代日本文学全集・91 現代俳句集」に収載された「渡辺白泉集」よりである。

 この集の貴重な点は、執筆禁止下にあった彼が、戦前・戦中にひそかに書き溜めた句を、読める事である。

 以下に5句を引く。

  戦前

きみとゆけば真間の継橋ふつと照る

能面のひと集まりて吾子を焼く

  戦中

若き頬ならべ水葬礼を吹く

  (終戦)

新しき猿股ほしや百日紅

  戦後

母の名をいくつも書きて七夕す

 (注 漢字の旧字を、新字にした所があります)。

Photoダウンロード・フォト集より、清流の1枚。

 

 

 

2014年7月28日 (月)

「ホーキングの最新宇宙論」

Cimg7841 「ホーキングの最新宇宙論」を読みおえる。

 日本放送出版協会・刊、1991年・14刷。

 僕は今月8日の記事(←リンクしてある)で、「ホーキング、宇宙を語る」を紹介している。

 「最新宇宙論」では、1990年に博士が来日したおりの講演、他に最新物理学の啓蒙的な小文を幾つか、載せている。

 彼は一般相対論と量子力学を統合する事によって、宇宙を解明しようとしているようだ。

 ビッグバン、あるいは宇宙が収縮するとしてその極点のビッグクランチでは、空間や時間といった概念は意味をなさず、科学理論はすべて通用しなくなるだろう、と述べている。

 博士は、「宇宙には境界がなく、はじまりも終わりもない」という説を主張している。

2014年7月27日 (日)

斎藤史「魚歌」

Cimg7838 積み上げてある本の中から、以前に買った、「斎藤史全歌集」(大和書房、1998年5刷)を引出して来て、初めより読み始めた。

 斎藤史(さいとう・ふみ、1909年~2002年)の第1歌集は「魚歌」(1940年、ぐろりあ・そさえて刊、376首)。

 彼女は初期、のちに「日本歌人」を創刊する、前川佐美雄らと歌を共にした。

 「魚歌」の作品はモダニズムである。しかしよく知られているように、2・26事件に父が連座し、同級生・下級生が処刑された。

 表現の自由は保障されておらず、父が陸軍将校だった立場もあり、韜晦的に詠うしかなかった。

 以下に6首を引く。

白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう

せめて苦悩の美しくあれ爪に染む煙草の脂(やに)を幾度ぬぐふ

岡に来て両腕に白い帆を張れば風はさかんな海賊のうた

野に捨てた黒い手袋も起きあがり指指に黄な花咲かせだす

暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた

をりをりは老猫のごとくさらばふを人に見らゆな見たまふなかれ

 (漢字の旧字を新字に替えた所があります)。

2014年7月26日 (土)

「渡辺白泉全句集」より(3)

 沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、3回めの紹介をする。

 7月20日の記事、「同(2)」に継ぐ。

 今回は、敗戦後の1946年から、1956年までの句である。

 ただし、総合俳誌や俳句年鑑などに寄せたのみで、結社誌には加わらなかった。

 すでに前衛俳句ではなく、政治的前衛でもなかった。執筆禁止、兵員応召を解かれて、生活吟だと僕は思う。

 以下に4句を引く。

咲きみちて蝶のをらざる牡丹かな

呼び合うて泥へ乗りゆく千鳥かな

法師蟬山に鳴かねば胸に鳴く

わが冬や林檎を呉るゝ厨妻

Photo「フリー素材タウン」より、向日葵の1枚。

2014年7月24日 (木)

「歌壇」8月号

 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2014年8月号を読みおえる。

 特集は、「短歌の空想の力――フィクションとファンタジー」である。

 僕の短歌はリアル派なのだが、読む短歌はフィクション・ファンタジー、共に好きで、寺山修司、永井陽子は全歌集を読んだくらいである。

 「作品五十首」は、米川千嘉子「榧の純真」である。統一したテーマというものは判らないけれども、気になる1首があり、下に挙げる。

滅び始めし国の小旗を頬に描く若者はもうほろべと言はず

 戦後民主主義が滅びようとし、若者はもう反権力でさえない。教育から歪めて行った保守政治家も、満足しているだろう。

Photo「フリー素材タウン」より、睡蓮の1枚。

2014年7月23日 (水)

「コスモス」8月号

 結社歌誌「コスモス」2014年8月号の、いつもの所を読みおえる。

 初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集(「あすなろ集」「その二集」の特選欄)」、「新・扇状地(2名×15首)」、「第11回 純黄賞 推薦作品抄」、他。

 僕が付箋を貼った1首は、「COSMOS集」より新潟県、M・陽子さんの「夏のスカート」(116ページ・上段)の次の作品。

満開の桜ほろほろ散りぬるを少し休んでまたがんばらう

 僕も「少し休んでまた頑張って」、生活して行きたい。

 なお同誌は、これからも読んでゆく予定である。

Photoダウンロード・フォト集より、向日葵の1群。

2014年7月22日 (火)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(2)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、単行詩集未収録詩篇の、「笛」より「水浴」に至る、48編を読みおえる。

 今年6月29日の記事(←リンクしてある)、「単行詩集未収録詩篇(1)」に継ぐ。

 初出は、1962年~1971年である。

 初出紙誌の「詩学」「木立ち」はわかるけれども、「架橋」「御本丸」「ねんきんふくい」などは、僕にはよくわからない。その解説まで求めるのは、無理というものだろう。

 広部さんの単行詩集には収められなかったが、こうして全詩集に収められ、後世に残るだろう。

Imgp0632庭の、花笠咲きのムクゲである。

2014年7月20日 (日)

「渡辺白泉全句集」より(2)

 沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、1938年、俳誌「広場」に合流したあと、1942年までの句を読みおえる。

 7月17日の記事、(1)に続く。

 彼は1939年、「京大俳句」に参加し、1940年「俳句弾圧事件」に遭い、執筆禁止を命じられた。1941年、1942年に、変名で数度、俳誌「鶴」に投句している。

 その後、敗戦まで、句の発表は無かった。

 以下に5句を引く。

天兵に砲丸が降り地雷が裂け

突撃の立ちどまり歩き驅け倒る

包帯が寝臺の上に起き上る

戦争が廊下の奥に立つてゐた

天の塵妻泣く家を出でて來ぬ

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の花の1枚。

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