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2014年7月の30件の記事

2014年7月10日 (木)

関谷啓子「梨色の日々」

Cimg7799 関谷啓子さんの第5歌集、「梨色の日々」を読みおえる。

 2011年、六花書林・刊。355首。

 関谷啓子(せきや・けいこ、1951年・生)さんは、「短歌人」「開放区」同人。

 既に5冊の歌集を上梓していて、短歌結社に20年いながら1冊の歌集も出せない僕とは、違うのだ。

 彼女は主婦の穏やかな生活ながら、時に強く、時に鋭く、詠い出す。

 以下に6首を引く。

桃の木に思春期というものありやなし空にするどく枝差し入れて

あらあらと風吹く街に火のごとく流れてゆけり桃の花片(かへん)

ふつふつと愚痴吐きている黒しじみ一息に鍋に入れてことなし

夫の病に張りつめ暮らす秋の日は何のはずみにか涙出でつも

夕空にながれる雲を追いながらどこに行くのかわれと自転車

むすめ嫁ぐ日の近づきて夜な夜なを語れりかたることの尽きざり

ミニ薔薇2輪

Imgp0614

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 キッチンの窓辺で、2輪のミニ薔薇が咲いた。

 6月21日の記事(←リンクしてある)のあと、ミニ薔薇は生育成長期に入り、枝をどんどん伸ばした。そのあと9つの莟をつけ、2輪が咲いた。12回めの開花だ。

 花が咲いたら、その枝は切り戻すのだが、枝の徒長が長く、姿がうまく収まらないようで、困っている。

2014年7月 9日 (水)

詩誌「群青」合本

Cimg7797 昨日の午前に「宮本印刷」へ電話すると、依頼してあった詩誌「群青」合本製本は、午後には出来上がっているとの事だった。

 午後に伺い、合本3冊を受け取り、わずかな料金(実費以下だろう!)を支払う。

 題名は印刷されていないので、家のテーププリンターでラベルを作り、貼りつける。

 僕とこぐま星座さんには、第21号~第30号を(創刊号~第10号、第11号~第20号の合本は、それぞれ当時に作製していた)、AUさんには彼女が参加してよりの第16号~第30号を(創刊号~第15号は、既に合本を作製して、渡してある)を、用意した。

 第21号の作品等を読んでみると、3年前の事なのに、はるか昔の事のように思える。世間も、僕の立場も(僕は再任用職を退職した)、大きく変わったからだろう。

 明後日には、「群青」同人、3名が集まる事になっている。合本の受け渡し、30号の合評、30号・10周年の祝い、等のために。

 

2014年7月 8日 (火)

「ホーキング、宇宙を語る」

Cimg7793 ある方から頂いた数冊の本より、「ホーキング、宇宙を語る」を読みおえる。

 早川書房、1991年・46版。

 スティーヴン・ウィリアム・ホーキングによる、彼の理論物理学の一般読者向け解説書であり、当時、世界的ベストセラーとなった。

 ビッグバン理論ではなく、「宇宙には境界がなく、はじまりも終わりもない」とする説を提示する。

 虚時間など、難しい考えも入れる。

 彼が何を説いているか判らない箇所が幾つもあった。

 僕には判らない事がたくさんあると、あらためて知らされた。

2014年7月 6日 (日)

村上春樹「アンダーグラウンド」

Cimg7792 村上春樹「アンダーグラウンド」を読みおえる。

 講談社文庫、1999年・1刷。

 とにかく大部だった。文庫本で777ページ、2段組み。

 いったんはスルーしようと思った本だが、のちの彼の理解になるかと、古本を買って読んだ。

 読みおえて1番感ずるのは、村上春樹の「物語る」事への凄まじい執念である。死傷者多く、凄惨な事件の被害者へインタビューし、話の時間的にまとめ、ある程度の長さにまとめ、彼の特徴である豊かで穏やかな文体に直す。

 インタビューではないけれど、犯罪のドキュメンタリーとしては、カポーティ「冷血」のほうが、優れていると思う。

 いったん取材を受けながら、書物化されることを拒んだ人々は、自分の経験を物語化されることを、拒否したのだろう。

2014年7月 5日 (土)

高野素十「雪片」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、16番め・最後の句集、高野素十「雪片(せっぺん)」を読みおえる。

 先月30日の記事(←リンクしてある)、永田耕衣「驢鳴集」に継ぐ句集である。

 またこの大系収載の、高野素十(たかの・すじゅう、1893年~1976年)の句集として、昨年3月28日の記事(←リンクしてある)に紹介した、第1句集「初鴉」がある。

 原著は、1952年、書林新甲鳥・刊。第2句集。406句。

 彼は生涯、写生一路の句風を貫いたようだが、僕には少し物足りない。

 以下に5句を引く。

一ひらの枯葉に雪のくぼみをり

邪魔なりし桑の一枝も芽を吹ける

早苗饗や髪撫でつけし日焼妻

白浪やうちひろがりて月明り

落葉やや深きところが道らしき

Photo「フリー素材タウン」より、朝顔の1枚。

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2014年7月 4日 (金)

「ハイドン作品集(84)」

Cimg7785 BRILLIANT CLASSICS版の「ハイドン作品集」(CD全150枚)より、84枚目をパソコンのiTuneで聴く。

 先月27日の記事(←リンクしてある)「同(78)」に継ぐ。

 待望の「弦楽四重奏曲」(全68曲ある)に入って3枚めで、ウィキペディアに拠ると、1781年・作「ロシア四重奏曲」6曲よりの、3曲を収める(55分余)。

 いきなり始まり、いきなり終わる楽章があり、意表をつく(少しだけ突飛な)曲想があり、美しい曲の1枚だった。

2014年7月 3日 (木)

「竹中郁詩集」

Cimg7782 古い蔵書から、再読だと思うのだけれども、「竹中郁詩集」(現代詩文庫 第二期 近代詩人篇1044)を読みおえる。

 思潮社、1994年・初版。

 写真では、照り返しを入れないため、ビニールカバーを外してある。

 竹中郁(たけなか・いく、1904年~1982年)は、神戸の裕福な竹中家の養子となり、生涯、上品さと清潔さを保った。

 僕は若い頃、この本ではなかったように思うが、彼の詩を愛読した。

 1時、全詩集を買って読みたいと思ったが、今はその気持ちはない。

2014年7月 2日 (水)

7月号「その一集」末まで

 結社歌誌「コスモス」2014年7月号の、「その一集」通常欄を、末まで読みおえる。

 外国(カナダ、台湾、タイ、ブルガリア)を巡って、北海道に入り、1路南下して鹿児島県に至る(残念だが「その一集」には、沖縄県の出詠者がいない)。2段69ページとなる。

 僕が付箋を貼ったのは、宮城県のS・実さんの、次の1首。

収奪をされ続けたる牛ならむその乳も肉も皮も爪まで

 家畜はいつまでも養うことはできず、いったん屠殺したなら、すべて利用するのが(ゴミとして捨てずに)、家畜への礼儀ではなかろうか?

Photo「フリー素材タウン」より、朝顔の1枚。

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2014年7月 1日 (火)

井上春代「陽だまり」

Cimg7779 井上春代さんの第1歌集、「陽だまり」を読みおえる。

 2011年、六花書林・刊。329首。

 中地俊夫・選・跋文、小池光・帯文。

 井上春代さんは、1948年・生、1991年・「短歌人」入会。

 彼女の歌は、歌集題名にもあるように、明るい作品が多い。

 ただしその危うさを知っており、明るければ幸せとは限らないと、歌の中でも詠っている。

 「あとがき」では、歌に救われた道筋を、自覚している。

 以下に6首を引く。

「実験」と子はビー玉を転がして家に傾きあるを指摘す

コロッケが大好きと言いつつ少年はたちまちにして七個食いたり

夫がいて子がいて未だ淋しきと言えば褪せゆく風の曼陀羅

( )つき数式のように物事を難しくして生きていないか

鶏卵を産み落とすごと製氷皿みたす氷の音のくらぐら

アミノ酸のご機嫌うるわし百回もまわせば納豆ねばりてやまず

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