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2015年12月の30件の記事

2015年12月21日 (月)

笠松俊子「花あかり」

Cimg8662 12月13日(第2日曜日)の「コスモス短歌会」F支部・月例歌会のおり、支部会員の笠松俊子さんより、歌集「花あかり」を頂いた。

 2015年11月、弘報印刷(株)出版センター・刊。漆崎支部長・序。

 1977年以来、結社誌「コスモス」とF県短歌人連盟・年刊「自選歌集」に掲載の、40年近い歌より選んで、歌集を成した。

 早逝の夫、父母、舅・姑、知友、更に弟まで見送る歌がある。

 1方で、娘の結婚や、孫・曾孫の誕生の喜びも詠まれる。

 国内の旅、娘の1人が住むドイツへ3度も渡って、優れた短歌を得ている。

 鮮やかな描写は、南画にも励まれている所から来るのだろうか。

 笠松さんは、情熱を内に秘めた、温厚な方で、支部内で好感を持たれている。

 以下に7首を引く。

闇市に吾が食む小魚買ひくれし舅しのばるる娘の身籠れば

小島師が愛でましし曲「平城山(ならやま)」をテレビに聞けば泪あふれ来

楽になる注射願ふと夫言ひて永久の眠りに入りてゆきたり

腰伸ばせ目線高くと言はれつつドイツの秋日の街を娘とゆく

酒好きの舅が遺しし古九谷の盃を褒めつつ娘の婿ら酌む

昏睡ゆおぼおぼと覚むる弟か声にはならぬ口を動かす

抱きたる赤子の曾孫に見つめらる「あなたは誰」と瞳に問ひて

2015年12月19日 (土)

歌誌2冊

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 今月14日の発売日に、Amazonへ本阿弥書店「歌壇」2016年1月号を注文し、16日(水曜日)に届いた。

 4ヶ月間、角川「短歌」Kindle版を買い読んだが、ピラミッド型階級制がきつくて、止めにした。

 特集の「ノベンタ世代の短歌観」の「ノベンタ」が判らないが、読めば判るだろう。

 12月17日に、結社歌誌「コスモス」2016年1月号が届いた。「第62回O先生賞」発表の号で、2名が受賞している。

 僕の歌は10首出詠の内、前の号に続いて5首選(特選)だった。

 内容はアメブロ「新サスケと短歌と詩」の、12月18日の記事(←リンクしてある)にアップした(横書きながら)ので、関心がおありの方はお読みください。

2015年12月18日 (金)

干刈あがた「借りたハンカチ」

Cimg8654 干刈あがたの短編小説集「借りたハンカチ」を読みおえる。

 彼女の小説はこれまで4冊(初めから順に、「黄色い髪」、「十一歳の自転車」、「ゆっくり東京女子マラソン」、「ウホッホ探検隊」)を読んでおり、直近の「ウホッホ探検隊」は今年8月6日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「借りたハンカチ」は、集英社文庫、1992年1刷。

 この短編集は、「日曜日のショルダーバッグ」「賃貸契約書」「指輪と文庫本」「必殺アミタワシ」など、物をテーマにした21編より成っている。

 例えば「指輪と文庫本」は、12ページという短さである。

 ほとんどの作品が庶民を描いており、小遣いを貰えず祭りへ行けない女の子から、3軒の貸し家を持つ老寡婦まで。

 時に告白体になるのは、文体の発展か後退か、僕にはわからない。

2015年12月17日 (木)

詩誌「ココア共和国」vol.18

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 宮城県・在住の詩人・秋亜綺羅さんから頂いた、季刊個人詩誌「ココア共和国」vol.18を読みおおえる。

 同誌の受贈は、今月12日の記事「届いた3冊」にアップした。

 また同誌vol.17の感想は、今年4月10日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 小林稔「記憶から滑り落ちた四つの断片」は、4章8ページにわたる長詩で、1年半になろうとする外国旅行のエピソードと思念を描く。

 岡本啓「ポリフォニー」(8ページ)は、行間を読むしかない。

 高橋英司「恋愛コスパ」は、二股の恋、譲る恋を、A男、B子という呼び名で描き、ありうる事と思わせる。

 吉田稀の小詩集「猫の返事」(14ページ)では「幾万の昭和の約束が/今日も/まつりごとに翻弄されてゆく」と、また秋亜綺羅「死は生の中にしか存在しないのだから」(5ページ)では「肉と骨と臓器を背負っているロボットくんわたし/なんとかしろよ、前衛といったってまもることじゃないか」と、生き辛い世をうたっている。

       

2015年12月16日 (水)

岡井隆「暮れてゆくバッハ」

Cimg8647 思潮社の「岡井隆全歌集」全4巻を、版こそ違え、2012年3月29日の記事(←リンクしてある)で紹介した「旅のあとさき、詩歌のあれこれ」で読みおえたあと、僕は岡井隆の歌集を読まなかった。

 今回、彼の最新歌集「暮れてゆくバッハ」を買えて(今月12日の記事、「届いた3冊」で報告)、読みおえた。

 大柄な、諧謔味を交えた歌風は健在だが、時に軽みに至るようだ。

 散文「亡き弟の霊と対話しつつ過ぎた、手術の前と後」、「松本健一さんの霊に呼びかける」等、「付録」3編、には触れない。

 また水彩画集編「花と葉と実の絵に添へて」は、手本の木下杢太郎「百花譜」に比べて(僕は岩波文庫「新編百花譜百選」を持っており、少し見た)、はっきり言って下手である。添えた短歌などの筆跡は立派だけれども。

 2つの折り句(アクロスティック)よりは引かない。

 以下に7首を引く。

遺言(ゐごん)状つくるため来し帰り路(ぢ)にあしたの朝の食材えらぶ

注釈の橋を渡して本文を渉(わた)らうとする秋暑き日に

ヨハン・セバスチャン・バッハの小川暮れゆきて水の響きの高まるころだ

わが知らぬその声はややたかぶりて川口美根子の逝きたるを告ぐ

オレンジの色の囚衣の映像を折ふしに見て書きつづく 詩を!

固有名詞の出て来ない日はせめてもつとでつかいものの名よ出よと思ふ

憎しみの作る表現を凍結し夜半ふかく解凍するのが常だ

2015年12月15日 (火)

トラークル「詩集」

Cimg8652 筑摩書房「村野四郎全詩集」を、13回に分けて紹介しおえた(今年5月16日~11月20日)ので、次の詩集を読もうと思って(Kindle版「立原道造詩集」を除く)、本棚から(というのは嘘で、居間の床の間に立てたり積んである本より)、「トラークル全集」を出して来た。

 写真は、その函の表だが、トリミングの都合により、上下端を削ってある。

 青土社、1987年・1刷。1009ページ+書誌7ページ。

 ゲオルク・トラークル(1887年~1914年・自死)は、オーストリアの詩人で、ドイツ表現主義の夭逝の天才であり、世界苦をうたった(ウィキペディアより抜粋、編)。

 「詩集」は、生前に刊行された唯一の詩集である。

 読みおえた印象は、情緒はあるが、色名の多用など、表現としてそれほど進んでいない作品だった。他の詩、作品、書簡等を読んでいず、またトラークルの生涯も詳しくは知らず、今は評価が難しい。

 この分厚い全集を読み進めば、全体像も今よりは明らかになるだろう。

 なお中村朝子さんの翻訳は、英文法を習った身には読みやすく、訳注も親切である。

2015年12月14日 (月)

支部12月歌会

Imgp1234 昨日(12月13日、日曜日)の午後1時より、某館の1室で、「コスモス短歌会」F支部の、12月歌会が持たれた。

 事前1首出詠10名、当日参加者6名。体調が優れなくて欠席、という会員が多かったようだ。

 事務方が用意したプリントを基に、U支部長の司会で、1首につき2名が批評、支部長の講評と添削例提示で会は進んだ。

 僕の歌は、添削例の第2案に僕の意が汲まれて、その形で新聞発表となった。

 途中休憩はお菓子や飲み物、雑談で楽しんだ。

 参加者の少ない分、支部長や参加者が多く発言した。

 また会員のK・俊子さんが支部会員全員に、立派な第1歌集「花あかり」を下さった。読み終えたなら、ここで紹介したい。

 午後3時半過ぎに散会し、それぞれの方法で帰途に就いた。

2015年12月13日 (日)

若山牧水「白梅集」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第10歌集「白梅集」をタブレットで読みおえる。

 今月7日の記事(←リンクしてある。クリックすればジャンプする)にアップした、「朝の歌」に継ぐ。

 原著は、1917年(大正6年)、抒情詩社・刊。妻・喜志子(247首)との合著であり、牧水は222首。

 自序で「ともすれば絶望的な、自暴自棄的な」所が見えると書いている。物を視る目が据わってきたように、僕は思う。

 以下に7首を引く。

朝起きの萎えごころか椋の葉にうごける風を見ればいとはし

われと身を思ひ卑しむ眼のまへに吾子こころなう遊びほけたり

夏草の茂りの上にあらはれて風になびける山百合の花

ちからなき足をうごかしあゆまむとあせる甲斐なさいまはやめなむ

酒のめばなみだながるるならはしのそれもひとりの時に限れる

何はあれあたり明るく見え来たりここに斯くあるわれとなりにけり

戸を繰れば雪は背より高かりしその窓かげに今日もこもるか

Photoフリー素材サイト「足成」より、山茶花の1枚。

2015年12月12日 (土)

届いた3冊

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Cimg8647 



















   最近、3冊の本が手許に届いた。

 左上の写真は、スマホのマニュアル本。スマホを、通信速度の速いLTEのものに機種変更をしたため、例によって教科書として。スマホは、古い型の廉価なものである。

 右上の写真は、岡井隆の歌集「暮れてゆくバッハ」。Amazonの広告を見て、どうしてもほしくなった。2015年7月、書肆侃侃房・刊。(なおスマホのマニュアルもAmazonに注文した)。

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 宮城県にお住まいの詩人・秋亜綺羅さんが、季刊個人詩誌「ココア共和国」vol.18を送って下さった。

 2015年12月、あきは書館・刊。

 今号も招待の詩と短歌を含め、豊かな内容である。

 歌集と詩誌は、読んだあと、ここで紹介したい。

2015年12月11日 (金)

山茶花と万両

Photo

Photo_2  北側の庭で、白八重の花の山茶花が咲き始めた。(左の写真)。3本ある山茶花のうち、最後に咲いた(品種不明)。

 初花の頃を過ぎたので、千重にはならず、花びらも少し傷んでいる。

 庭の紫木蓮の株許に、万両が1本生えて、実の色づいているのを見つけた。(右の写真)。実の色づくまで、気がつかなかった。

 鉢植えの万両を、春には軒下へ出すので、その実を食べた小鳥の、お返しだろう。

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