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2015年3月の31件の記事

2015年3月22日 (日)

岡本かの子「雛妓」

 Google Playブックスより「青空文庫」発で、タブレットにダウンロードし、岡本かの子の小説「雛妓」を読みおえる。

 先の2月25日の記事で紹介した、「河明り」(←リンクしてある)に継ぎ、同様にして読む彼女の小説の、8作めである。

 「かの子」という雛妓を親しみ憐れんで、夫婦で落籍しようとまで話し合ったが、その雛妓は他の地で芸妓になってしまう。

 雛妓から「十六の若さを奥様に差し上げます」という手紙を受け取って、岡本かの子が若さと、一族の家霊を表現するため、短歌より小説執筆を決意して、1編は終わる。

Photo

フリー素材サイト「Pixabay」より、椿の1枚。

2015年3月21日 (土)

近藤芳美「冬の銀河」

 岩波書店「近藤芳美集」第1巻(2000年・刊)より、第5歌集「冬の銀河」を読みおえる。

 3月16日の記事(←リンクしてある)、第4歌集「歴史」に継ぐ。

 原著は、1954年、白玉書房・刊。507首。この第1巻の、最後の歌集である。

 この歌集の間に、対日講和条約が結ばれ、朝鮮戦争の停戦があった。

 彼は社会詠、相聞歌が注目されるが、多くの叙景歌があり、生活と心情を暗示している。

 以下に7首を引く。

力の下平和はありとためらはぬ其の声々も見まもりて居よ

新しく吾らが負はむ忍従も今はひとりさへ言ひ出づるなし

おのづから戦ひ絶ゆと前線のその日のことも早く伝はる

新しき日本を信じ会ひし日々過ぎし喜劇と今も思はず

午後に入り暴動化するメーデーをしだいに今夜のラヂオは伝ふ

母の写真小さく切りとり香をたく妻のしぐさもさびしめるのみ

さめて聞く激しき雨といかづちと遠く来りぬ雪ぐにのはて

Photo

フリー素材サイト「Pixabay」より、椿の1枚をトリミングして。

2015年3月20日 (金)

「O・ヘンリ短編集(二)」

Cimg8312 「O・ヘンリ短編集(二)」を読みおえる。

 先の3月17日の記事、「同(一)」に継ぐ。

 新潮文庫、1991年52刷。短編小説15編を収める。

 ルーとナンシーのシンデレラ物語「手入れのよいランプ」、サクセス・ストーリーとも呼べる「うしなわれた混合酒」。二十年後に約束の地で会う友人二人が、一人は追われる犯罪者、一人は警官になっていた皮肉な物語。

 国と時代が違うからか、小説が世間離れしているように思う。何もリアリズムでなくとも良いが、メルヘンと呼ぶには生々しい。

 世間のエピソードや噂話を(実際、彼は世間にまじって、題材を得る事があったそうだ)拾い上げ、脚色して作品化したようだ。

 

2015年3月19日 (木)

「歌壇」と「コスモス」

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 総合歌誌「歌壇」と結社歌誌「コスモス」の、2015年4月号が届いた。

 「歌壇」は、3月14日の発売日に、「楽天ブックス」へ注文し、翌日(日曜日)に宅配便で届いた。

 特集など、気になる編集である。

 「コスモス」は通常、15日に発送と推察しているが、今回は日曜日にあたるので土曜日の14日に発送して下さったらしく、16日(月曜日)に、ゆうメールで届いた。

 3月号は、初めから「COSMOS集」まで読み進んで終わってしまったけれど、出来るかぎり作品と批評を読みたい。

2015年3月18日 (水)

「歌壇」3月号

Cimg8305 総合歌誌「歌壇」2015年3月号を読みおえる。

 発売日近くに「楽天ブックス」へ注文して、すぐ届いたが、次号発売日近くになって、あわてて読んだ。

 それで特集の「アンソロジー二〇一四テーマ別私の一首」を読んでいない。角川「短歌」や「短歌研究」と違って、年鑑を出せなくても、体裁を取り繕うことは要らない。

 巻頭20首では、佐佐木幸綱「俺は何もの?」に好感を持つ。かつての青春短歌の雄の健在はたのもしい。僕は河出書房新社「佐佐木幸綱の世界」全16巻より、歌集篇のみ4冊を読んだだけだが。

 池田はるみ「ITこはい」は、ITに不慣れな人の不安感を表わしている。(僕がITに慣れているとは言わない)。

 永田和宏の連載「某月某日」第3回「不機嫌な猫は尾を振る」が、充実している。

2015年3月17日 (火)

「O・ヘンリ短編集(一)」

Cimg8302 古くからの蔵書より、大久保康雄・訳「O・ヘンリ短編集(一)」を読みおえる。16編の短編小説を収める。

 新潮文庫、1995年57刷。全3冊。

 カバーの裏に「庶民の哀歓とユーモアを描く…」とコピーがあって、身近な題材かと思った。

 しかし多くは、浮浪者、犯罪者、ワーキング・プアの世界だった。

 ハッピーエンドの物語もあるが、それは奇跡的な邂逅というべく、あまりにも作り物めいている。

 「よみがえった改心」は、自分の運命よりも、親しい家族の娘の命を選ぶ物語で、その結末と共に感動的だった。

 その(二)、(三)を読む予定である。

2015年3月16日 (月)

近藤芳美「歴史」

 岩波書店「近藤芳美集」第1巻(2000年・刊)より、第4歌集「歴史」を読みおえる。

 3月5日の記事(←リンクしてある)、「静かなる意志」に継ぐ。

 原著は、1951年、白玉書房・刊。384首。

 「後記」で彼は、「…私達にはもはや歴史から逃れて生き得る小さな片隅はあり得ないと云ふ事であり、…」と述べている。

 それでも社会詠と相聞歌のギャップは、どこから来るのだろう。

 自分の詩と短歌のスタンスも、定まって来るようだ。

 以下に7首を引く。

みづからの行為はすでに逃(のが)る無し行きて名を記す平和宣言に

悲劇を好まぬさがは常にひとり稚き妻をまもり来りき

相へだつ憎悪と言へど知り過ぎて一つ時代を吾ら生き合ふ

アトリエの如き書斎を空想し冬待つさびしかつてなきまで

麦の野の傾くはての空暗く仔山羊は妻をひたすらに追ふ

貨物電車思はぬ夜半に過ぎて行く遠き河床の砂利を運びて

埃雲野にくらく立つ今日も又君の朝鮮に飛ぶ重爆ら

崩るるとき一瞬にして崩れ去る権威の空しさもすべて見て来ぬ

Photo

フリー素材サイト「Pixabay」より、椿の1枚を、トリミングして。

2015年3月15日 (日)

「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2015年3月号の、「COSMOS集」を読みおえる。

 1昨日の記事、「その一集」読了、に継ぐ。

 「COSMOS集」は、「その二集」「あすなろ集」の特選欄(5首、稀に6首、掲載される)である。

 さすがに優れた作品が多いと、僕は思う。

 ただし「その二集」よりの特選が10名、というのは酷ではないか。改革前より、ずいぶん減った。それで「その二集」の会員、ひいては入会者が、増えるとは思えない。

 僕が付箋を貼ったのは、I・洋子さんの「もぐらの気持」5首より、次の作品。

寸劇のやうなCMみせられて売りたいものがよくわからない

 他の4首も含めて、社会への皮肉や、生活のペーソスを詠んでいる。

Photo

フリー素材サイト「Pixabay」より、椿の1枚をトリミングして。

 

2015年3月14日 (土)

詩誌「青魚」特別号

Cimg8300 2月8日の記事(←リンクしてある)の通り、詩誌「青魚」の発行母体「鯖江詩の会」が、第21回「野の花文化賞」を受賞した。

 3月8日に、鯖江シティホテルにて、「祝う会」があって、僕は参加の予定だったが、急な都合で参加できなかった。

 それで「青魚」発行人の千葉(兄)さんより電話があり、3月11日の午後すぐに、県立図書館で会う事になった。

 彼は、「青魚」特別号、2月7日の表彰式での記念写真(大判)、記念の文入りボールペン3本(ケース入り)を、渡してくださった。

 「青魚」特別号には、故人、退会者を含めて、22名・各1編の詩が、これまでの「青魚」より選ばれて掲載されている。

 すべて、佳い記念になる品である。

2015年3月13日 (金)

「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2015年3月号の、「その一集」を読みおえる。

 2月28日の記事(←リンクしてある)、「月集スバル」「月集シリウス」読了、に継ぐ。

 何回も書くが、このクラスが一番、会員数が多く、71ページにわたる。

 社会的関心、家庭内の事、また自然詠もある。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・幾則さんの4首より。

「ばあちゃんもかわいいよ」と言ふジェニさんはフィリピンからの介護ヘルパー

 新しい社会事象も、しばらく経てばこうして短歌に詠まれることは、目覚ましい文学事態である。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、椿の1枚。

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