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2015年9月の25件の記事

2015年9月17日 (木)

江國香織「ぬるい眠り」

Cimg8541 江國香織の短編小説集「ぬるい眠り」を読みおえる。

 新潮文庫、2007年・刊。

 今年5月3日の記事(←リンクしてある)、「ホテル カクタス」以来の、彼女の本である。

 1989年~2003年発表の、9編の短編小説、「ラブ・ミー・テンダー」、「ぬるい眠り」、「放物線」、「災難の顛末」、「とろとろ」、「夜と妻と洗剤」、「清水夫妻」、「ケイトウの赤、やなぎの緑」、「奇妙な場所」を収める。

 彼女の小説には、恋と性にこだわった作品も多い。僕には、よく判らない。

 50歳、52歳、69歳の女性が年末に年1度だけ会って、食事し、買い溜めをするストーリーの「奇妙な場所」の、グロテスクなユーモアが親しく感じられる。

2015年9月16日 (水)

「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2015年9月号の、「COSMOS集」を読了した。

 先の9月11日の記事(←リンクしてある)、「その一集」読了、に継ぐ。

 「COSMOS集」は、「あすなろ集」と「その二集」の、特選欄である。

 ただいま「あすなろ集」の兵庫県まで読み進んでおり、「コスモス」の次号、10月号の到着予定日である17日も近く、今号はこの辺りまでの読書となる。

 僕が付箋を貼ったのは次の1首。T・泉さんの「授乳期」5首より。

涸れぬやう水分鉄分カルシウムしかと補給す授乳期なれば

 現代の授乳ママは、科学的でなければいけない。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、栗の1枚。

2015年9月15日 (火)

詩誌「角」第37号

Cimg8539 坂井市にお住まいの詩人、N・としこさんが、同人詩誌「角」第37号を送って下さった。

 巻頭、O・純さんの「おにぎり」は滋味のある作品だが、(『風鐸』第五号より転載)と付記されているのみで、執筆時期、発表時期がわからないのは惜しい。

 K・悦子さんの「残思」、A・ひなさんの「夢みる雲ゆき」など、レトリックに過重を強いない作品に好感を持つ。

 Y・勝さんの映画論(2段組み、5ページ)は、熱意余っての勢いが過ぎていないか。

 K・久璋さんの「瓜生山レポート 33」は、青年時代の夢と、文献渉猟だけによる、思考実験例のようで、フィールドワークを重ねた方が良くはないか。

 巻末にO・純先達詩人顕彰(日本現代詩人会による)の、特集が組まれ、4氏の文章を収めた。

2015年9月14日 (月)

支部9月歌会

Imgp1073 昨日(第2日曜日)午後1時より、某館の1室で、「コスモス短歌会」F支部の、9月歌会が持たれた。

 事前1首出詠10名、当日参加者7名。

 U支部長の司会で、プリントを基に、1首につき2名が批評し、支部長の講評と添削例提示(事前にプリントされている)で、会は進んだ。

 途中休憩は、お菓子や飲み物を頂いて、寛いだ。

 歌評のあと、11月の忘年歌会の予定、他、事務事項を決めて、4時近くに散会した。

2015年9月13日 (日)

村野四郎「予感」

 筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第6詩集「予感」を読みおえる。

 先の8月27日の記事(←リンクしてある)、同「故園の菫」に継ぐ。

 原著は、1948年、草原書房・刊。17編を収める。

 その「小序」で彼は、「戦争は、べつに私の詩をもえたたせなかった。戦後の平和も、とくべつにそれを燃えあがらせることはなかった。」と述べている。彼が翼賛詩の多くを書いたことは消せない。

 彼が戦時中にファナティックでなかったとして、戦後の自由と民主も信じなかった。彼が信じたのは、資本の論理であろう。資本の側に立ち得、家族と共の裕福な生活が彼の願いだったろう。

 そして抒情の欲求を満たすために詩を書く。彼の嘔吐感は、そのギャップに拠る。

 彼が戦後詩に残した罪は、深いのだ。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、栗の1枚。

2015年9月11日 (金)

「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2015年9月号の、「その一集」を読みおえる。

 先の9月6日の記事(←リンクしてある)、「月集スバル」「月集シリウス」読了、に継ぐ。

 「月集」の伸びやかさ・花やかさに比べて、「その一集」では意欲作を含めて、手堅い印象だった。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。W・キクエさんの3首より。

いさぎよき春の鈴の音旧道を乙女遍路の足早に過ぐ

 何を思っての遍路か、あはれ深い姿を、的確にとらえている。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、栗の1枚。

2015年9月10日 (木)

「三島由紀夫全集」第1巻(3)

 新潮社「三島由紀夫全集」(36巻本)第1巻を、ほぼ読みおえる。

 このブログの記事(←リンクしてある)では、2014年10月23日の「同」第1巻(2)以来である。

 前回は「玉刻春」まで読んだが、その後の「世々に残さん」に行き泥んで、これは戦前の作品は後回しにしよう、と思った。

 それで戦後、川端康成に認められた「煙草」まで、8作品を飛び、「煙草」以降の7作品を読んだ。最後の「鴉」に、住込みの若い衆、という孤独な庶民がファンタジックに描かれていて惹かれた。

 第2巻に読み入らねば。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、栗の1枚。

2015年9月 9日 (水)

角川「短歌」9月号・Kindle版

 角川書店の総合歌誌「短歌」2015年9月号・Kindle版を、短歌作品中心に読んだ。

 角川「短歌」は、初めて読む。購入は8月26日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 巻頭31首から、公募佳作1首まで、見事に階級化されている。今時、結社誌でもここまで、厳しく差別化されていないだろう。

 桑原正紀「ロマネスクの人」10首は、宮英子氏(「コスモス」発行人、他)の葬儀と、「偲ぶ会」の様を、作品化している。

 散文は、人物特集の「葛原妙子」は全歌集を持ちながら全く読んでいないので、特集「『私』をどう歌うか」も大上段過ぎて、読まなかった。

 実はタブレットで読んで、字面の拡大法がわからなかった(今はわかっているつもりだが、読みにくい)せいでもある。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、洋梨の1枚。

 

2015年9月 8日 (火)

「村上さんのところ」最終回

 村上春樹が期間限定サイトに寄せられた、37,465通のメールより、3,716通に返信した、質問・相談と応答をすべて収めたKindle本、「村上さんのところ コンプリート版」を読みおえる。

 すべてタブレットで、40日余りかけて読んだ。3,000通を越えているのに30数%と表示されて、何かあるのかと思っていたら、時系列編のあとにテーマ別編が付いているのだった。後者を読む気はない。

 2つ、引用する。読みきれない蔵書について、「『素晴らしいじゃないか。これだけの本の中から好きなものを選んで読めるんだ』そう考えたらいかがでしょう。」

 またこの企画で、メールが多過ぎた事について「しまった、えらいことをしてしまった、と後悔しております。」

 しかし彼は、すべてのメールに目を通し、返信を続け、約束を果たした。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、洋梨の1枚。

2015年9月 7日 (月)

若山牧水「独り歌へる」

 先の7月22日の記事でダウンロードを報せたKindle本、「若山牧水大全」より、第2歌集「独り歌へる」を読みおえる。

 先の8月9日の記事(←リンクしてある)で紹介した、第1歌集「海の声」に継ぐ。

 原著は、1910年、八少女会・刊。551首。

 次の歌集「別離」が、歌人・牧水の出発であったという。ただしこの版に誤字脱字があるのはいけない。

 すべてタブレットで読んだ。

 メモした4首を以下に引く。

父の髪母の髪みな白み来ぬ子はまた遠く旅をおもへる

おのづから熟みて木の実も地に落ちぬ恋のきはみにいつか来にけん

憫れまれあはれむといふあさましき恋の終りに近づきしかな

とこしへに逢ふこと知らぬむきむきのこころこころの寂しき歩み

Photoフリー素材サイト「Pixabay」よりの梨の1枚を、トリミングして。

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